昨日はECBの金利会合でマーケットが動いた。ずっとユーロドルが1.12台から1.14台の間でほとんど動きが乏しかった推移をしていたのに、それが下落に向かって昨年来の安値をもブレークしてきたのだ。ユーロが下がるということは、ユーロのイージングが図られたということだ。
声明の内容を見ると、「夏場まで利上げをしない」といっていたのが、「年末までは利上げしない」と変更され、事実上、今年のユーロ利上げがなくなった。これで目先のユーロ金利の先高感はまったくなくなったのだ。そして新規の資金供給が打ち出された。TLTRO3という。過去にも何度か出されたこともある金融政策の一つだ。
これを受けて、動きの鈍いユーロドルがようやく動き出した。ユーロが下げてきたのは確かだったのだが、実際に見ているものにとってはスピードがたいへんに遅い。1.13台だったものが1.12台の前半までくるまでに、相当に長い時間がかかったようにも思える。
私も何度もユーロ売りをしては買い戻すということを繰り返さないといけないくらいに、動きは緩慢だった。ドッスンと落ちればいいのものを、そのような局面は最後まで見られなかった。
ユーロドルが1.11台に侵入したのは、もうニューヨーク時間のかなり後になってからのこと。その局面では若干の投げ売りストップも出てきたようだが、大きく崩れると言うほどのこともなかった。
朝になってみれば1.11台のままだったという事実が残ったのみである。ユーロドルはまだ安値圏にステイ。足取りの形からもまだ売り切れていないことが容易に想像できる。つまり安くても、まだ売っていけるのである。
金融政策の変更の方針が経済対策のようにも見えるが、実際にはイタリアの資金繰り救済というのが実情であろう。新規の資金放出は9月からとなっているからだ。前回に借りた分の借り換え時期に合わせている。
それが見え見えだったので、普通ならば「政策には売り向かうな」ということでリスクオンに傾くはずの市場の反応も、それほどの足下の景気が悪いのかという思惑のほうが強くなってしまい、欧州株をはじめとして米国株でもリスクオフ一色の展開となった。ドル円は昨日は下げなかったが、リスク回避の必要性からかなり強い売り圧力がわいてきても不思議ではない。
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