先週末に逆イールドに過敏に反応しすぎた反動が出てきた。月曜日に米国株が下げ止まったのを見届けた後は、やはり押し目は拾いたいという意欲がわいてきたようだ。これはマーケット全体のリスク許容度の回復につながる。
それで昨日はアジア時間からもドル円やユーロ円など、リスク性に敏感な通貨ペアは堅調な歩みを見せた。110円台を回復したドル円は、そのまま海外市場まで安値攻めすることはなかった。
欧州時間に入ってドル円が110.40をつけると、市場に安心感が戻ってきた。ここまで戻ってくると、ドル円は押し目買いでよいのではないかという観測が主流になってきたようだ。私もドル円を何度か拾ってみたが、そこからは動きの値幅が狭い。5ポイントとか10ポイントを取るのがやっとだった。
ずっと長い間、持っていればいいのだが、私自身がドル金利の低下局面ではファンダメンタルズ面からもドルベアに感じてしまっているので、ドルロングの保有期間は短くならざるをえない。ドルのロング攻めはユーロドルではできるが、ドル円ではなかなか持っていられないのである。
ところでドル金利を見ていく上でのベンチマークは短期金利の先物なのだが、これはLIBORベースなので民間の金利を反映している。銀行間の調達金利である。しかし金利の上げ下げといった値幅だけを問題にするのであれば、取引量や流動性を考えると、これを見るのがいちばん良い。ちなみに中心限月は9ヶ月先のものとなっている。
このドル金利先物が、昨年の10月の株価急落の局面からすでに100ベーシス以上も上がってきている。金利に引き直すと1%ポイントの金利低下だ。昨年の夏場までは年3回の利上げを織り込んでいたのだ。
したがってそれに比べると利上げがなくなったに限らず、利下げを一回分だけ織り込んできているということだ。9ヶ月先の短期金利だというのだから、年内にも25ベーシスの利下げがあってもおかしくはないということである。
これは現在の戻してきている米国株から見ると、ちょっと行き過ぎのような感じもする。せいぜいで「利上げなし」というのが順当なところのように思える。これはいずれ「市場との対話」の一環としてFRB関係者の口から出てきてもおかしくはなさそうだ。そのときには期待していなかった分だけ、結構なドル買い相場となりそうだ。そうなったら私もスタンスをドルブルに切り替えるつもりである。
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