昨日は欧州序盤でポンドの値下がりにやっと弾みがついてきた。ポンドドルは心理的な節目の1.2000を割り込んできて、ようやく不安心理が増大してきたというわけだ。原因はBREXITに絡むものと考えられているが、為替相場ではドルの全面高が継続している。ドル高の流れに乗っての効果の方が大きいものと見る方が自然であろう。
それでも市場にはまだ楽観論が残っている。合意なきEU離脱は回避されるだろうとするもの。誰もが得をしないのだから、イギリスが大幅な譲歩に踏み切るだろうと見ているのだ。だからマーケットでクラッシュが起こらない分、むしろリスクテークの方向のポジションが危険水域にま達するまでたまってきているとも言える。ポンドのロングと株のロングだ。
それで私もポンドショートで攻めてみたりするのだが、腰の入った持ち方ができない。ポンドの相場が下がってきても、そこには買い意欲が旺盛なのも見えるからだ。下サイドには投げ売りのストップ注文よりも、利食いの買い戻しや純粋なビッドが多いのである。昨日も1.19台のミドルまでは押し込んだものの、ニューヨーククローズに至るまでにポンドは大きく買い戻されて、瞬間的には1.21台までつけてしまっている。
英議会で一人が与党を脱退した。これで連立与党が過半数を割り込んだようだ。そこで今朝になってEU離脱の延期法案の道議が出された。翌日にも議論に付されることで議会を通過。ジョンソン首相としては解散総選挙しか打つ手がない状態に追い込まれている。それでもポンドは積極的に売られる気配はない。
今日になって離脱延期の採決が取られることになっているが、果たして解散に持っていけるのか。イギリスを始め、欧州の多くの国では解散は首相の権限だけで行われることは野蛮だということで忌避される傾向が強まっている。
イギリスでは下院議員の3分の2以上が賛成しないと解散できないようだ。労働党が解散に賛成する側に回るとしても、数をそろえられるのか。解散もできないとなると、余計にイギリスの政情は混迷の度合いを増すことになる。
というわけで今日も欧州時間ではイギリスの情勢をケアしないといけない。といって本格的なポンド安が始まってしまったら、そこから売り込んでいくには勇気が要ることではあるのだが。ポンドだからといって、特別に何か重いもの、ドル価に引き直すと高く思えてしまうものという思い込みがある。しかししょせんは為替レートは通貨同士の相対的価値だと考えれば大したことはない。
ポンドドルが1.19だといっても、同じようなレベルがつい先日までユーロドルでもあったのだ。数字だけの上げ下げを論じるならば、このレベルが行き過ぎだということもないだろう。また直近のユーロドルの歩みの歴史を比べてみれば、ポンドドルだって1.13台とか1.09台まで行っても不思議はまったくないのである。
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