■「ボラがない」と嘆くなら日経平均のトレードも!
動きの少ない相場が続く2019年。トレーダーからは「もっとボラを!」との声も聞こえてくるが、今年も為替と、それに株式市場で首尾よく稼いでいるのが、あの人だ。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
■西原メルマガ、今年はどんなトレードを?
FXトレード戦略指令!
2019年6月29日0:24配信
米中首脳会談でgood newsが出て、反発すればいい売り場になるのではないか?と考えています
シティバンクでチーフディーラーを務めた西原宏一さんが配信する『ZAiFX!×西原宏一 FXトレード戦略指令!』から、こんなメルマガが届いたのは6月末だった。
今年は米中貿易戦争が主導する相場。トランプと習近平がケンカすれば株や米ドル/円が下がり、仲直りすることで戻して…と繰り返している。それを利用して西原さんが米ドル/円をショートしたのは7月1日だった。
FXトレード戦略指令!
2019年7月1日9:22配信
米中首脳会談を経て、Gap upして始まったドル円の高値は108.50円。今年の高値である112.40円と6月安値である106.78円の38.2%が108.93円。現在のところ108.80-00円Levelでofferする予定(中略)想定ほどあがらなければ、108.50円Levelで少額からshortを再構築という方針に変更予定

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■2円、3円の大きな値幅を狙うスウィングが基本
このメルマガどおり、108.30円から米ドル/円をショートした西原さん。トムとジェリーのように仲良くケンカする米中。米中首脳会談が終わり、「好材料が出尽くした次はケンカする番、リスクオフ局面は近い」と読んでのショートだった。
FXトレード戦略指令!
2019年7月3日配信
ドル円は104円、中期では100円に行くと考えています。では、全く戻しもなく上がっていくのか?仮に一方的に急落する相場であると考えていれば、104円になるまでshortをkeepすることになります。たとえば、2016年のトランプラリーのときのドル円は2ヶ月弱で一気に18円急騰しました。しかしこうした相場においてもある程度急騰したところでlongを減らしてまたDipで買い戻すということを繰り返して収益をあげようとするのが僕のやり方
西原メルマガでは2円、3円と大きな値幅を狙う中期スウィングを基本としながらも、もう少し短いトレードも逐一配信してくれる。このときも「コア」となるショートを構築したあと、次のような短期トレードを行なっていた。
FXトレード戦略指令!
2019年7月1日22:10配信
108.50円のofferもついてshortが増えています
FXトレード戦略指令!
2019年7月3日10:23配信
108.50円で追加したshortの一部を現在の107.59円で縮小
(出所:Trading View)
■西原メルマガ、リニューアルで導入された新機軸とは?
さて、為替を主戦場とする西原さんだが、じつは「昨年(2018年)の収益は日経225先物のほうが多かった」という。FXと同時に日経平均など株価指数のトレードも手掛け、しかもそちらのほうが収益は大きいのだ。
そうなると気になるのが、「日経平均でどんなトレードを行なっているのか」だが、西原メルマガは11月にリニューアル。為替だけでなく、日経平均をはじめとした株価指数のポジションも細かく配信してくれるようになる。
FXトレード戦略指令!
2019年7月1日9:22配信
日経平均先物は現在21,590円Level。ここで少額のみshortを追加。このラリーで少額ずつshortを増やす予定。stopは22,500円
米中貿易戦争による相場サイクルは株・為替が連動する。
・米中が歩み寄ればリスクオンで株式市場やクロス円が上昇
・米中が対立すればリスクオフで株式市場やクロス円は下落
この関係に従えば、為替だけを取引して株価指数を取引しないのは機会損失だ。米ドル/円をショートした7月1日、西原さんは同時に日経平均もショートしていた。
西原さんは「限月」(取引期限)のある日経225先物でのトレードだが、FXを手掛けている人なら仕組みの近いCFD口座での取引でもちろんOKだ。
【参考コンテンツ】
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■株式市場の天井を予測した「ダイバージェンス」
その後、相場は膠着。米ドル/円は108円台で、日経平均も2万2000円前後での推移が続いた。膠着どころか、アメリカの新興株市場では高値を更新する展開ともなった。不安に思った読者とのやり取りで、西原さんがアドバイスしたのは「ダイバージェンス」だ。
FXトレード戦略指令!
2019年7月18日19:10配信
最近のAIはそうしたstopを全て刈り取ってから急落する傾向があります。トレーダーとしては27,000ドル超えがbull trapなのか、もしくはブレイクしてしまったのかは判断がむずかしいため、ブレイクした場合は基本shortをカットすることになります。その後続伸しなければ、再び反落することになり、結果Bull trapになることになります。Bull trapになるかどうかは他市場のdivergenceではかる方法もあります。先程配信させていただいたようにNASDAQの日足にRSIをプロットしてdivergenceをさがしてみてください
ダイバージェンスとは、値動きと、RSIなどオシレーター系テクニカルが逆行する現象。高値を切り上げているのに、RSIは低下しているとダイバージェンスとなり、価格反転のシグナルとされる。
7月下旬、ナスダック総合指数は高値を切り上げたものの、RSIは低下し、まさにダイバージェンスが点灯していた。
(出所:Trading View)
■トランプ砲でリスクオフ発生!
7月は107.50円から108円台でのレンジを利用して細かなトレードを繰り返していた西原さん。相場が動き出したのは、ナスダック総合指数でダイバージェンスが点灯した1週間後。きっかけは当初の読みどおり、米中貿易戦争だった。
FXトレード戦略指令!
2019年8月2日6:47配信
影響が大きすぎるといわれていた対中制裁関税第4弾ですが、トランプ大統領が発動するとtweet。制裁関税の対象となっていない中国からの輸入品3,000億ドル相当に10%の関税を課すと発表。9月1日から適用される予定。呼応して米株は続落。NYダウは1%下落し、26,583ドルでクローズ。ブルトラップとなる可能性が高まります。米10年債利回りは急落し、1.90%.リスクオフとなり、円高へ
FOMCでは利下げを決定。「バイ・ザ・ファクト」による買い戻しで109円台へ上昇したものの、トランプのツイートでリスクオフの流れが決定的になり、107円台前半まで急落。ダウ平均は280ドル安、翌日の日経平均も前日比453円の急落となった。
コアとなるポジションは米ドル/円が108.30円だから1円幅の含み益となり、日経平均もコアの売値が2万1590円での売りだから500円幅の含み益だ。
(出所:Trading View)
■リスクオフ加速でド底の利益確定
米ドル/円と日経平均のポジションをスクエア(ポジションをゼロにすること)にしたきっかけは、やはり米中がらみのニュースだった。米財務省が予期せぬタイミングで中国を「為替操作国」に認定したのだ。
この日の朝は西原メルマガが連発された。
FXトレード戦略指令!
2019年8月6日7:29配信
ドル円を105.55円(半分)で縮小
FXトレード戦略指令!
2019年8月6日8:10配信
米株は急落。NYダウは767ドルもの急落し、25,717ドルでクローズ(2.90%)。NASDAQは3.5%もの急落。米10年債利回りは1.71%に沈んでいます。Risk offで円買い、スイス買い、gold買いに。スイス中銀は為替介入を実施している模様
FXトレード戦略指令!
2019年8月6日8:55配信
日経先物のshortを19,990円でスクエアに
日経平均が2万円割れの安値をつけたところで利益確定しスクエアに。
(出所:Trading View)
■米ドル/円はさらに一段の下落を予想
一方で米ドル/円はもう一段の安値を予想してポジションを継続。スクエアにしたのは翌週だった。
FXトレード戦略指令!
2019年8月12日10:40配信
今日のNY cutまでは105.00円は30億ドルほどあるので、いったんのサポートになるかも知れません。ドル円の方針は変わらず、買い戻しを105.05-15円にいれています。これができればいったんスクエアに
「NY cut」はオプションの権利更新締め切り時刻。西原メルマガでは為替レートに影響を及ぼすことも多いオプションの状況が日々、配信される。初心者には活用が難しいが、重要なオプションは上記のように西原さんが配信してくれる。
オプションを頼りにして米ドル/円もスクエアにし、7月からの米ドル/円&日経平均トレードが終了した。為替レートでいえば108.30円から105.05円まで。日経平均では2万1590円から1万9990円まで。米中貿易戦争の状況でいえば、米中首脳会談でリスクオンが極まったところから為替操作国認定でリスクオフの極まで、米中サイクルの1回転を天井からド底まで取る見事なトレードだった。
(出所:Trading View)
西原さんのメルマガで配信されるポジションは、プロの考え方を知るための教科書として使えるが、そのままコピーして取引することもできる。デイトレード的な短期売買は捨てて、スウィング部分のみをコピーした筆者の取引履歴は下記のようになっている。

■2018年末にも行われていた米中貿易戦争トレード
西原メルマガの熱心な読者なら気がつくかもしれないが、米中サイクルの1回転を狙ったトレードは半年ほど前にも行われていた。
FXトレード戦略指令!
2019年12月5日9:23配信
米中首脳会談を受けての株の上昇はone dayしか持たず、日本株が大幅安となったことに呼応した展開で、米株も急落。為替ではありませんが、日経先物をshortにしています
2018年12月、ブエノスアイレスで開催されたG20に出席した米中首脳が会談したことで米株が上昇。そこで日経平均を売っていった。
(出所:Trading View)
■デジャブのような米中首脳会談からの売りトレード
2019年7月のトレードとまったく同じ展開だ。その後の推移も同じ。米ドル/円のショートも交えながら、短期の売買も行ないながらリスクオフが極まるのを待って、スクエアにしたのは3週間後だった。
FXトレード戦略指令!
2019年12月25日11:16配信
ドル円を110.25円で縮小。日経平均先物を19,150円でスクエアにしました
FXトレード戦略指令!
2019年12月26日10:30配信
日経平均に続き、残っていたドル円のshortもいったん110.60円でスクエアにしました
(出所:Trading View)
(出所:Trading View)
■なぜ西原宏一さんが株価指数トレードも配信するのか?
西原さんといえば、圧倒的に為替のイメージが強い。なぜ今回、『ZAiFX!×西原宏一 FXトレード戦略指令!』で株価指数のトレードも配信することになったのだろうか。
でも、西原さんのキャリアを見れば、それも納得だ。「元シティバンクのチーフディーラー」として紹介されることの多い西原さんだが、シティバンクを退職後、シンガポールの大手銀行でプロップディーラーを務めていた。プロップディーラーは「収益機会があるのなら、株も為替もコモディティも、どんな市場でも!」とアグレッシブにディールしていく職種。
プロップ時代の西原さんは為替だけでなく、株価指数も手掛けていた。為替ディーラーであるだけでなく、株式ディーラーでもあるわけだ。まして現在は、さまざまな金融市場が密接に影響を及ぼし合って動く相場が続いている。為替市場を分析するのに株価やコモディティを見ないわけにはいかない。
西原さんはこれまでも、株高・円安が進んだトランプラリーや、ブレグジットによる英ポンドや株式市場の急落など、大相場をことごとく的中させてきた。そんな西原さんが逐一配信してくれることになった株価指数のポジション、コピーして取引するなら、今のうちに日経先物やCFD口座を用意しておこう!
【参考コンテンツ】
●NYダウや金にも直接投資できるCFD取引会社を徹底比較!
(取材・文/高城泰(ミドルマン))
※11月1日より「西原宏一 FXトレード戦略指令!」は、「西原宏一 FXトレード戦略指令!with 日経先物」とタイトルを変更し、これまでの通貨ペアの予測、ポジション配信のほかに日経平均や米ダウ平均、原油などの指数予測や日経先物のポジション配信も行ない、月額費用が4200円(税込)→6600円(税込)と変更になります。
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