昨日は激しくはないが、市場全体がリスクテークに赴いた。米国株も小さい値動きながらも、主要3指数ともに史上最高値をつけてきた。そしてドル円も堅調な地合となって、ついに109.50を越えてきた。ここは当面のレジスタンスとみられていた場所だ。感謝祭の休みを控えてニューヨーク時間ではドル円は高値引けをした。
今朝、トランプ大統領が香港の人権法案に署名した。これは意外であった。米中協議の第1段階の部分的合意が先に来るのを待っていると思われたからである。人権とかが絡んでくると、貿易問題だといっても容易に合意することの妨げにもなる。
時拒否権を使って時間稼ぎをしても、議会の再可決で12月上旬までには法律になるのだから、それまでの勝負である。中国が食料品を買うことと、相互の関税のいくつかを引き下げることをバーターにして手打ちになるのだろうと思われていた。
それ以上を欲張っても、交渉には相手がいることであり簡単ではない。ほどよいところで協議は成功と見せかけるためにも、香港の人権問題が米国内の問題になる前に交渉を急ぐはずであった。
しかし拒否権を使っても、時間稼ぎしかできないのであれば格好は悪い。アメリカが大事にしている人権に無頓着な大統領という悪い評判がたってしまう。そのためか感謝祭の休みを利用してトランプ大統領は署名に踏み切った、これがマーケットにとって予定外の行動だったので、市場はさっそくリスク回避に傾いている。
ドル円も昨日のニューヨーククローズの高値引けから一転して、上値が重くなってきた。調子に乗って109.50アッパーを買ってしまった連中の逃げのオファーが、相場にのしかかっているからだ。ニューヨーク勢がいないということをどう捉えるべきか。
トランプ大統領も何も言わないだろうことを考えると、このまま状況が変わらないわけだからドル円を安くても売り込んで行ってもいいのかもしれない。参加者が少ないことを考えると、あまり大きな反応も期待できないわけである。
明日の朝まで様子見をした方がいいものか。私としては109.20を下回ってきたら「これは本物だ」ということで、ドル円を売っていこうと考えている。
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