FRBの7月利下げ観測が広がり米ドルが弱い
この1週間は、米国のFRB(米連邦準備制度理事会)による利下げ観測が広がって、マーケットも米ドル安になっています。その経緯を改めて整理してみます。

(出所:TradingView)
きっかけは、6月23日(月)のボウマンFRB副議長の発言でした。彼女は、インフレ率はFRBの目標である2%に向けて持続的に低下しているように見受けられるという認識を示した上で、「早ければ7月に利下げを支持する」と発言しました。
先週(6月16日~)末20日のウォラーFRB理事に続く発言となりましたが、これまで、FRB関係者が次回の利下げの時期について具体的なことを言ったことはなかったので、マーケットには驚きが広がり、一気に米ドル安となりました。
その直前まで、全体的に米ドル高に向かい、米ドル/円も一時148円台にまで上昇していましたので、カウンターパンチを食らった形になり、米ドルは大きく下落していきました

(出所:TradingView)
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パウエル議長は利下げを急がない姿勢を改めて表明
一方で、パウエルFRB議長は24日(火)、米下院金融サービス委員会で証言し、関税の引き上げで今年(2025年)の夏にインフレが加速し始める可能性があるとし、利下げを急がない姿勢を改めて表明しました。

利下げを急がない姿勢を改めて表明したパウエルFRB議長 (C)Bloomberg/Getty Images News
また、ボストン地区連銀のコリンズ総裁は、25日(水)、FRBが7月に利下げするのは時期尚早との考えを示しました。彼はブルームバーグのインタビューで「7月の会合までに得られるデータはあと1カ月分しかない。私はそれ以上の情報を得たいと考えている」と述べています。
総合して見てみると、7月の利下げの可能性に言及しているのは、FOMC(米連邦公開市場委員会)のメンバーのうち、わずか2人で、大勢はもう少し様子を見るという考えであることがわかります。
ところが、今週(6月23日~)、「トランプ米大統領が、次期FRB議長を早期に指名することで、FRBに利下げ圧力をかけることを検討している」という報道がでてきて、またも米ドル安となる展開となっています。
以上のことを考えると、7月のFOMCは利下げ見送りになる可能性が高いですが、トランプ米大統領のことですから、利下げをしないFRBやパウエルFRB議長に対して、さらに圧力強めると考えておいたほうがいいと思います。
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米ドル/円は143-147円程度のやや広めのレンジを想定
その前提で考えると、目先は米ドルは回復、つまり米ドルはやや上昇すると思いますが、その後、再びトランプ米大統領の言動よってドル安になる展開もありうると想定しておけばいいかなと思っています。
なお、7月9日(水)の相互関税猶予期間の期限も迫ってきていますので、各国との交渉状況についてもよく注意をしておきましょう。米ドル/円は143-147円程度のやや広いレンジを想定しておきます。

(出所:TradingView)
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