昨日はリスクオンの流れが継続した。それは中国側からも「合意には前進している」みたいな前向きな意見が表明されたからでもある。米国株は再び史上最高値をうかがう展開になってきたが、ニューヨーク時間では「食料品の購入額で対立している」という報道も出てきて、急速に上値が重さを増してきた。結果的には米国株は前日比であまり変わらない水準で終わることとなった。
ドル円も欧州序盤までは堅調であったが、109円台を攻めきれなかった。ニューヨーク時間を通じて利食い売りが旺盛となってきて、ちょっと目先は重くなってきている。元気のいいのはポンドだけで、ポンドドルは連日の上昇。1.30台を越えてきたのが短期筋の買い戻しを誘っているようである。
今晩は雇用統計。就業者数は19万人から20万人くらいの増加が見込まれているが、先日のADP調査でもわかるとおり、ちょっと高めのコンセンサスである。私としてはもうちょっと少ない数字であっても驚かない。
本来ならばオーバーバリューだということでドル円かユーロ円をショートで仕込んで勝負といきたいところなのだが、現在は市場の注目は米中協議の行方に集まってしまっている。手を出したくないのである。
雇用統計の動向には関心が薄まっているのが実情だ。また今月のFOMCでもドル金利は動かないだろうとされているので、それを変更させるにタル材料にもならないと考えられている。
ところで米中協議で騒がれている「部分的な合意」というのは、中国側から言い出したことである。それも記者発表を通じてである。それゆえマスコミから出る報道に基づいて「第1弾の合意」などといっているのだが、そこには中国の思惑が隠れてはいないか。
大統領選を控えてトランプ大統領は成果を欲しているので、ほどよいところで妥協させてしまえば実害は少なくて済むだろうという皮算用だ。何度も「第1弾の合意」と繰り返していれば、そんなこといった覚えがないアメリカ側も何か結論めいたものを打ち出さないと格好がつかなくなるだけになっているのではないか。
中国に乗せられて踊らされているような感じもするアメリカなのだが、むろんマーケット参加者もその辺のことは承知しておかないといけない。15日までが期限と見なされているが、追加関税の発動に向かっていっそうの注意を要する局面でもある。
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