先週の金曜日は欧米がイースター休みだったので、マーケットはお休みで為替相場もほとんど動かなかった。欧州勢は今日も休みなので、やはり動意のない一日となる。
日本でも非常事態宣言が出されて初めての週末を迎えたが、街中での具合は従来とあまり変わらないようである。それまでも自粛はされていたし、罰則がない分だけ出歩く人は出歩いているからだ。
それでも政府や都が要請していることは明買いにGDPを押し下げる方向のことばかりであり、感染拡大を防止するならば経済活動を犠牲にしなければいけないことを裏付けている。
しかし今回の感染拡大を通じて鮮明になってきたことは、安倍首相が主唱してきた経済政策、いわゆるアベノミクスがかえってアダになっているということだ。先日の日経新聞にも出ていたが、今回の騒動で30万円もらえるかどうかは、共働き世帯に不利だということだ。
そもそも女性活躍を打ち出していたのに、それが反対に作用するような救済策を打ち出すのはいかがなものか。労働力の不足から外国人をたくさん入れて、その人権もしっかりと守ろうとした入管法の改正もあった。しかし相変わらず外国人は労働市場の調整弁になっているだけで、この2、3ヶ月で職を失った人はちゃんと日本国が面倒を見てくれるのか。
成長戦略の一環としてインバウンドの増加を目指したが、韓国だけに限らず、最大のお客様でもある中国からの旅行客も激減した。成長したいならば研究などにもっと注力すべきであるといった主張もあったが、それを無視する形でインバウンドという短絡的な方向に舵を切ったのである。
消費税の増税もいずれは免れないところなのだが、それでもこの緊急事態において減税もできないのはどんなものか。伊勢・志摩サミットの時ときは「リーマンショック級の危機が到来した」という理由で増税を見送った経緯もある。欧米の株価が史上最高値を更新しているさなかである。メルケル首相などが少し怪訝なそうな顔をしていたのは記憶に新しい。
大胆な金融緩和と言いながらも、黒田総裁になってから一度も金利を変更していない。量的緩和と言っても普通の生活人には感じられないものである。あげくにこの危機に臨んで打つ手がなくて何もできないのが実情である。
GPIFの改革も裏目に出ている。株のポーションを増やしたはいいが、これが巨額の評価損を生み出している。GPIFの運用資金150兆円は余っているお金ではない。団塊世代の受け取りように積み立ててある分なのであって、20年以内には取り崩す必要のあるお金なのだ。どうやって現金化していくのか。マーケットの最大の重しになるのは最初の計画の段階でわかっていることなのだ。
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