IMFが世界経済の成長見通しを発表したが、やっとマイナス3.0%といった現実味のある数字が出てきた。世界中が都市封鎖をやっていて、モノと人の動きがほぼ止まっているのだから当然の数字である。
それが今まではどんなシンクタンクが発表する予想も、プラス成長のうち数ポイント落ち込むといったようなものばかりであった。本当に経済状態を観測しているのであろうかと疑われること必至のことだ。GDPは何を見て計算するのか、わからなかったのかと聞きたくなるくらいだ。
GDP統計は積み上げの数字なので、1日動かなければ1日分だけのGDPが減る。だから休日が何日あるかとか、今年はうるう年であるとかが関係してくる。積み上げである以上は、積み上げなかったら後で挽回は効かない。
だからGDPがどのくらいのレベルまで下がってしまうのかは、子供の目線で見れば明らかなのだ。どう考えてもマイナスである。しかもかなり大幅だ。最近出てきたイギリスのGDP予測がマイナスの30%というのは、よれでやっと的を得ているといえそうだ。
そうした中で、昨日は多くの経済指標が発表された。小売売上高も鉱工業生産もすべてが専門家の予想をはるかに超えるくらいの悪化であった。それでもマーケットの反応は薄かった。どうせとんでもない数字が出てくるのだろうといって、マーケットのほうが先取りして身構えてしまっていたのだ。
確かに昨日は米国株は前日比で大きく下げたが、この下げの多くの部分はすでにアジア時間で達成してしまっているものである。どちらかというとトランプ大統領のWHOへの資金拠出停止に反応したものだ。
それでも経済指標の悪さはドル金利を押し下げ、それがドルの全面安をもたらした。欧州時間まではドルは総じて堅調であったのに、それが反転したのだ。やはりドルは下向きに行きたがっているということか。
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