先週はユーロの上昇が目立ったといえよう。ドル円と同じくユーロドルも一定のボックス圏におさまっているかに見えていたのだが、いつの間にか1.10台に乗せてきて、最終的には1.11台まで見せている。
コロナ支援のためのユーロ共同債の構想が一歩前進したからだが、このユーロの腰の強さはもうちょっと続くのかもしれない。長らくユーロは売り圧力にさらされてきて、その分だけユーロショートのポジションがたまりにたまっているからである。
トランプ大統領の中国に関するスピーチでは、内容は想定の範囲内を超えるものではなかった。ビッグマウスにふさわしい内容になるかとの期待も一部にはあったが、経済制裁などを含んだ強硬なものにはならなかった。
香港の扱いに関して非難めいたことを指摘しただけで、香港を特別扱いにはしないだけだという。これでは完全に市場に織り込まれていることだったので、発表のあったニューヨーククローズ間際からは大きくリスクテークが進んだ。米国株は終盤に一段高し、5月も高値引けで終わることとなった。
週末になってミネソタ州の警官の問題が全国に飛び火して、暴動が拡大した。25カ所で夜間外出禁止令が出されて、これはキング牧師以来の規模だそうだ。
それで週明けのグローベックスでは米国株が大きく反落して、リスク回避の姿勢を鮮明にした。しかし東京市場がオープンすると日本人のリスクテークが炸裂し、それまでのロス分はほぼ吹き飛んでしまっている。
今週の市場のテーマは米中対立と米国内での暴動の行方となろう。コロナ問題は活動再開を通じて、もはや材料となりにくくなっている。また週末には雇用統計もひかえているが、5月分のデータは史上最悪になるのが見込まれており、いまさら若干、市場予想を下回ったところで、マーケットの反応は薄いものとならざるをえない。すでに雇用環境の改善はいつになるのかに関心がむかっているからだ。
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