昨日はビットコインが底打ち下ように見られ、そしてドルの長期金利も低下傾向を示したので、それが市場のリスク許容度の回復を促した。米国株は大きく反発し、リスクに敏感とされるクロス円も高い。ポンド円は154円台、ユーロ円は133円台になっており、これらは今年の最高値水準である。
一方でドル相場は軟化が続いた。それは短期金利を含め、ドル金利が低下したからでもある。ドル安が進行して、ほとんど戻る局面はなかった。ユーロドルなどは1.22台なのだから絶対レベルから見てもドル安だなと思えるのだが、ドル円だけはレンジ内に収まってしまっている。
108円台と109円台を中心にして107円台から110円台がコアレンジだという動きから脱しきれないでいる。ドル円だけは手を出しにくく、どちらかというとドルを触るならばユーロドル、円を扱うならばユーロ円のほうが動きが納得しやすい。
ところでワクチン接種のペースが日本でも速まりそうだとされている。しかし依然として接種率は低い。このままだとあと2ヶ月となったオリンピックの開催までには間に合わなさそうである。マーケットでワクチンバブルが起こったのは昨年11月の大統領選の開票中のことであった。
それから日本政府は何をやって時間を過ごしていたのか。現状の感染者数のままでオリンピックを開催してしまうと強行開催だとのそしりを免れず、これだったら去年やったほうがよかったのではないかとの疑念が残る。しかしオリンピック中止の議論は湧き上がってこない。それを口に出すと非国民だとみなされるような風潮である。
したがって誰も猫の首に鈴をつけにいく人がいない。IOCもWHOも日本政府も、誰かが言い出してくれたらなといった感じで時間を無駄にしているように見える。6月に都議選の告示があるが、それに向けて小池知事あたりが「英断」としょうして返上を言い出すのだろうか。そうなると戦後の政治史に名を残すのは確実であり、虚栄心の高い人にとっては実に魅力的に映る。とくに人気に陰りのある状況ではレガシーを作りに行く可能性が高いものだ。
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