このところ、大人気(?)なのがファニー・メイとフレディ・マック。
先週末からのニュースでは、米国の政府系住宅金融機関であるファニー・メイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディ・マック(連邦住宅貸付抵当公社)がたびたび登場してきた(この2社に関するニュースはまだ続報が出てきそうだ。『ザイFX!』の「リアルタイム為替ニュース」では為替関連ニュースを速報しているので、参考にどうぞ)。
■ファニー・メイ、フレディ・マックへの支援策とは?
さて、この2社はいったいどういった存在なのか? 『ザイ・オンライン』の連載コラムで広瀬隆雄さんがわかりやすく解説(※)しているのでそちらをご覧いただきたいが、簡単に言うと、この2社は金融機関から住宅ローン債権を買い取り、それをそのまま持っていたり、それを証券化して機関投資家に販売したりしている会社だ。
この2社は米国の住宅バブル崩壊→サブプライムショックで損失が拡大していたのだが、それを米国政府が救済しようという話が今、出ているのである。それはどんな内容なのか? 『ザイFX!』でもおなじみのマット今井さんにわかりやすく解説してもらおう。
「ファニー・メイとフレディ・マックは非常に大きな存在で、つぶれてしまっては影響が大きい。そこで国が助けようということになりました。その支援策の一つは中央銀行がお金を貸してあげること。もう一つは必要とあれば、政府が両社の株式を取得し、資本金を入れることです」
■支援策を好感し、東京・欧州市場ではドル/円が上昇
この支援策は今日の東京時間未明に発表された。その後、為替の動きはどうなったか?
「東京市場はこの支援策を好感し、午前中、ドル/円は上がりました。それがいったん下がってから、東京時間の午後になって再び上がってきました。この2回目の上昇は欧州市場がこのニュースを好感し、ドルを買っているのだと思います。発表自体はもっと前でしたが、ヨーロッパ人は(欧州時間の)夜中に起きてきませんからね。
東京市場も欧州市場も公的資金を入れる策を評価し、ドルを買い戻したわけですが、これは不思議ではないと思います」
米ドル/円 1時間足
では、これを契機にドルはどんどん上がっていくのだろうか?
「いや、そうはならないでしょう。公的資金を入れる支援策が出てきたのはそれだけ事態が深刻だということ。これだけで、米国経済が回復するわけではありません。むしろ、これから悪化して、どんどん飛び火していくんじゃないでしょうか。
たとえば、どこかの投資銀行がつぶれそうになったら、それはどうするんだ…とか。今回の件は、そういう一連の出来事の入り口かもしれないと思います」
■大事件がなければ、ドル/円は100円も割れない
ただ、『ザイFX!』の本日のコラム(※)で、今井さんは「ドル/円は3月の安値、95円を割れないだろう」と述べている。これはどういうことだろう?
「いや、ボクは100円も割れないと思ってますけどね。ホント言うと。
まあ、ショック度によるんですよ。たとえば、○○○○○○(伏せ字にさせていただきました)がつぶれてしまうとか、そういった大きな事件があれば、一瞬100円を割れるかもしれません。でも、そういう場合でもせいぜい98円ぐらいかなと思ってます。
小さな事件、小さなショックで終われば、102円ぐらいでドル安は終わるんじゃないかと見ています」
では、「ファニー・メイとフレディ・マックの支援策だけでは米国経済が回復するわけではない。だけど、ドルはそんなには下がらない」と今井さんはなぜ見ているのか?
「株価は企業の業績を反映するもの。だから、米国経済の悪さを反映して、ニューヨークダウは下がってますね。ただ、通貨は相対的なものです。米国企業の業績が悪化しても、世界みんなが悪くなれば、ドルだけが下がることにはなりません。
確かに米国の一人負けかもしれないけれど、そんなに極端な一人負けにはならないだろうなと思ってるんです。だから、ドル/円でいえば、去年の秋口から今年前半までに起きたような急激な下げはもう起きないと思っています」
(※マット今井の「為替で読み解く世界経済」:金融不安深刻化でも、ドル安は限定的か?)
■ユーロ高は8~9合目まで来ている
米国が極端な一人負けにはならないということは…。今井さんはユーロについては、どう見ているのか?
「ユーロ圏で、たとえばドイツなどは確かにまだ景気がいい。だから、ユーロはシッカリしています。まだ、ユーロ高になると思いますが、これもすでに8~9合目まで来ていると思いますよ。”時間差”でユーロ圏の景気もこれから悪くなるでしょう」
たとえば、どこかの投資銀行がつぶれそうになったら、それはどうするんだ…とか。今回の件は、そういう一連の出来事の入り口かもしれないと思います」
■大事件がなければ、ドル/円は100円も割れない
ただ、『ザイFX!』の本日のコラム(※)で、今井さんは「ドル/円は3月の安値、95円を割れないだろう」と述べている。これはどういうことだろう?
「いや、ボクは100円も割れないと思ってますけどね。ホント言うと。
まあ、ショック度によるんですよ。たとえば、○○○○○○(伏せ字にさせていただきました)がつぶれてしまうとか、そういった大きな事件があれば、一瞬100円を割れるかもしれません。でも、そういう場合でもせいぜい98円ぐらいかなと思ってます。
小さな事件、小さなショックで終われば、102円ぐらいでドル安は終わるんじゃないかと見ています」
では、「ファニー・メイとフレディ・マックの支援策だけでは米国経済が回復するわけではない。だけど、ドルはそんなには下がらない」と今井さんはなぜ見ているのか?
「株価は企業の業績を反映するもの。だから、米国経済の悪さを反映して、ニューヨークダウは下がってますね。ただ、通貨は相対的なものです。米国企業の業績が悪化しても、世界みんなが悪くなれば、ドルだけが下がることにはなりません。
確かに米国の一人負けかもしれないけれど、そんなに極端な一人負けにはならないだろうなと思ってるんです。だから、ドル/円でいえば、去年の秋口から今年前半までに起きたような急激な下げはもう起きないと思っています」
(※マット今井の「為替で読み解く世界経済」:金融不安深刻化でも、ドル安は限定的か?)
■ユーロ高は8~9合目まで来ている
米国が極端な一人負けにはならないということは…。今井さんはユーロについては、どう見ているのか?
「ユーロ圏で、たとえばドイツなどは確かにまだ景気がいい。だから、ユーロはシッカリしています。まだ、ユーロ高になると思いますが、これもすでに8~9合目まで来ていると思いますよ。”時間差”でユーロ圏の景気もこれから悪くなるでしょう」
ユーロ/米ドル 週足
「ここ2~3ヵ月、米国経済がどんどん悪くなっていっても、なかなかドルが下がらなくなってきました。『米国経済が悪くても、それが他国へ波及したら、ドルだけが下がる相場にはならない』、市場参加者はみんな、そんなふうに感じ始めている、とボクは思っています」
今井さんの話をまとめると、ドルは極端に下がったりしないし、かといって、ドンドン上昇していくわけでもない。いったん小波乱の可能性を秘めつつ、まだ、しばらくは行ったり来たりの保ち合い相場が続くということだろうか…。
(ザイFX!編集部・井口稔)
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)