誕生から7カ月…トランプ政権は常識破りをなんとも思っていない
トランプ米政権が誕生して7カ月が経過しようとしていますが、この政権は本当にこれまで常識を破ることをなんとも思わない政権です。

誕生から7カ月が経過するトランプ政権は常識を破ることをなんとも思っていない(C)Mark Wilson/Getty Images
今週(8月11日~)ベッセント米財務長官は「FRBは来月(9月)のFOMCにおいて0.5%の利下げをできる」と発言、さらに「米国の政策金利の水準は今より1.5%~1.75%低い水準であるべきだ」とも発言しています。
主要国では過去に政治の圧力で金融政策が歪んでしまったことが起きたことを教訓に、中央銀行は政治から独立をすることを担保されてきました。
しかし、トランプ政権はそんなことはお構いなしに政治的圧力をかけていきます。これに対して、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁は「来月(9月)の大幅な利下げは適切とは考えていない」と政治的な圧力には屈しない姿勢を示しました。
おそらく、パウエルFRB議長を始め、ほとんどのFOMCのメンバーも同じ気持ちだと思います。

パウエル議長をはじめほとんどのFOMCメンバーは政治的な圧力に屈しない気持ちを持っているだろう(C)Bloomberg/Getty Images News
とはいえ、雇用統計の結果で、米国の雇用環境が悪化していることも明らかになりましたので、来月(9月)のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、0.25%の利下げが決定されると思います。
ただ、トランプ米大統領はFOMCのメンバーの任命権を実質的に持っています。人事を通じて、今後も圧力をかけてくる可能性がありますので、その辺りの動きには注意が必要です。
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ベッセント米財務長官は日銀に対して暗に利上げを要求した?
ベッセント米財務長官はさらに驚きの発言をしました。
彼は日銀の植田総裁と話をしたことを明らかにし、総裁に対して「日本はインフレを抑える政策をするべき」と利上げを暗に示唆する発言をしています。
自分の国の中央銀行だけではなく、他の国の中央銀行にまで圧力をかけるような発言をするとは、驚きでしかありません。
ひょっとするとトランプ政権は、日米の金利差を縮小させることで、為替相場を米ドル安・円高に誘導したいという意図があるのかもしれません。

(出所:TradingView)
しかし、日銀とて、そんな圧力に屈するわけではありません。独自の判断をしていくと思います。
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相場をかき回すような材料によりマーケットは気迷い状態に
さて、その上で今後の展開ですが、ゆっくりとした円安を予想していましたが、こうした相場をかき回すような材料が出てくると、どうしても、マーケットも気迷い行動を始めてしまいます。
当面はレンジを抜け出せそうもなくなってきました。この先、1週間程度の米ドル/円の予想レンジは146.30-148.30円としておきます。

(出所:TradingView)
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