FOMCでは利上げに関して否定的態度を取ったことから、それまで過度に織り込んでいた相場での反動が起こった。ドルの短期金利は10ベーシス以上も下がってしまい、それにつられる形で長期金利のほうも低下した。その影響で為替相場ではドル売りの流れが強まった。ドル円は欧州時間で113円台に沈んでからは、、もう値を114円台に戻すことはなかった。
一方でユーロドルもドル安ということで上がっていけばよいものなのに、ポンド安が急激に進んだので、それに足を引っ張られることになった。BOEは利上げも見込まれていたのに、アメリカにちょっと遠慮したのか、利上げを見送ったのだ。
それがポンド保有に対する魅力を失わせることとなり、ポンドドルは150ポイントほどの下落を演じた。ユーロドルも本来ならば上がりたかったのだろうが、同じく欧州通貨だということで売りに押される形となった。その結果としてユーロ円がたいへん下がってしまっている。
今晩は雇用統計である。すでにFOMCの金利会合も終わった後なので、金融政策を変更するかもしれないようなサプライズでもない限りは市場の関心は薄い。雇用者数は40万から50万人ほどの増加が見込まれていて、これは前日のADP民間調査の結果とも合致するものだ。
失業率は改善されることが見込まれているが、これとても労働力の逼迫に原因がありそうで素直に喜べるものではなさそうだ。それを反映するのが平均時給であるが、これがプラス0.3~プラス0.4%の間に収まっているようならば、雇用統計での波乱はないものと思われる。
東欧諸国ではポーランドに引き続いて昨日はチェコも大幅な利上げを断行した。いよいよ原料不足や労働力不足が物価に現われてくる段階を通り越して、市民生活を脅かす段階に来ているのかもしれない。そうした世界潮流の中でのFOMCの態度は不鮮明かつ無責任極まるものがあったので、雇用データの裏付けも見てみたいところだ。
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