ECBの金利会合では、予想通りに政策金利に変更はなし。問題は今後のスタンスであった。6月までにテイパリングを終了させて、7月からでも利上げに踏み切るのではないかとする見方を完全に否定するものだった。テイパリングの終了は7月から9月までの間とし、利上げもそれ以降と表明したからだ。
ユーロ圏でのタイトニングに対するかなりハト派的な態度にユーロ金利は急低下し、為替相場ではユーロの全面安となった。とくにユーロドルは1.07台まで沈んで、年初来の安値を更新した。
ECBの姿勢が消極的に見えて仕方がないのは、ヨーロッパの物価高騰がアメリカやアジアを凌ぐ勢いだからである。インフレ・ファイターとしての姿を見せないことで失望をよんでいる。先日のニュージーランドもカナダも、市場予想を越える50ベーシスの利上げを敢行したばかりだ。だから余計にじらされてしまうのである。
とくにラガルド総裁の発言が始まってからのユーロドルの下げはきつかった。私も何度となく1.07台で突っ込み売りをやったのだが、ニューヨーク時間のコアタイムでは一段安することはなく、1.08台まで戻して終了している。しかしユーロ安となるべき流れに変化は見られない。7月くらいまではユーロの戻り売りが基本スタンスとなりそうだ。ユーロドルも1.03台くらいまで視野に入れておかないといけないのだろう。
ユーロの金利低下の反面、ドル金利は再び上昇に転じた、ドル円の126円ちょうど近くまで戻しきり、そして今日の東京時間では126円台のミドルまで高値を更新してきている。マーケットはECBと日銀の姿勢にフラストレーションを感じているのは確かだ。
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