昨日はドル金利が上昇する番であった。ブラード総裁がインフレ退治するには4%台ではまだ上げ足りないと発言したからだ。たしかにその通りである。8%とか9%の物価上昇に対処するのに、4%で済むのならば誰も苦労はしない。政策金利が3.75%なのに、もう来年の利下げを織り込んでいることに苦言を呈したというところなのだろう。
しかしドル相場は上がるには上がったが、前日のレンジをはみ出すことはなかった。まだ将来の金利動向の見方は分かれているということだ。一人のFEDメンバーの意見だけで決めつけるのは早計だということだ。
またイギリスの新しい財政案が提出された。前政権では不評だった大幅な財政支出を、大きな修正となった。減税や補助金などの支出をなくし、増税をメインとする緊縮型のものとなった。財政危機でポンド金利が吹き上がり、ポンドも対ドルでパリティ割れしそうになったショックの直後だ。当然と言えば当然の成り行きだろう。またそれを期待された新政権の役割でもある。
イギリスのインフレ率が11%台に乗せてきて、それへの対処が求められる。それには金融当局が引き締めをするだけでは足りない。財政の出動も必要なところ。景気が悪いときには財政支出を大幅に増やすが、今回はそれと真逆のことをやらないといけない。減税を止めたり、増税をすることは、それにかなうことである。
ここで連想的に不安になるのは、次はアメリカではないかということである。インフレは金融政策だけでは止めにくい。だからいよいよ財政政策も出動するのではないかというのだ。コロナ禍でずいぶんと財政規律が緩んでしまった後でもあるので、財政引き締めを行う余地は多いとみられる。
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