こんにちは、西原です。
早いもので、もう年の瀬ですね。
■ユーロに対するネガティブな相場観は変わっていない
来年に向けて、多くの銀行や証券会社のストラテジストから2011年の注目通貨ペアや、その予測が出そろってきました。
基本的に、コンセンサスの多くは米ドルを選好するもので、ユーロと円に対してはネガティブといった論調が目立ちます。
実際、来年を待たず、今月に入ってドル金利が暴騰しており、米ドル/円はジリ高となっています。
米ドル/円 日足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
しかし、ドル金利が上昇したとは言え、米ドルと円の金利差が2.00%程度しかない今のマーケット環境だと、米ドルの上昇スピードは緩慢にならざるを得ないといった感じです。
そこで、友人のヘッジファンドは、米ドル/円の下落時にオプションも含めて、少しずつ米ドルのロング(買い持ち)を積み上げているようです。
ユーロに関しても、昨晩「格付け会社ムーディーズがスペインの格付けを引き下げ方向で見直し」と報道されているように、相変わらずユーロ圏から悪材料が噴出しています。
彼らのユーロに対するネガティブな相場観も変わっていません。
ただ、彼らのユーロに対するベア(弱気)な見方は対米ドルのユーロ/米ドルについてだけではありません。
彼らの主戦場は、ユーロ/米ドルのみならず、ユーロ/英ポンドやユーロ/スイスフランといったユーロクロス(米ドル以外の通貨とユーロの通貨ペア)も代表的な取引通貨ペアです。
加えて、ユーロオージー(ユーロ/豪ドル)といった通貨ペアも頻繁に取引します。
そこで、ユーロクロスの代表的な通貨ペアであるユーロ/英ポンドとユーロ/スイスフランについて、詳しく見ていきたいと思います。
■英ポンドは対米ドルで過小評価されており、反発開始へ
英国在住の友人によれば、現在の英ポンドは安すぎるというイメージを持っているようです。
そこで英国の経済指標をチェックしてみると、イギリスの2010年第2四半期、第3四半期のGDPは年率8.00%という伸びを記録しています。
過去6カ月間のGDPの伸び率としても、過去10年にないほど強い数字を示しています。製造業PMIも16年ぶりの高水準です。
このため、英系銀行のレポートを見ると、総じて、英ポンドは過小評価されているといった論調になっています。
しかし、ドル金利が上昇したとは言え、米ドルと円の金利差が2.00%程度しかない今のマーケット環境だと、米ドルの上昇スピードは緩慢にならざるを得ないといった感じです。
そこで、友人のヘッジファンドは、米ドル/円の下落時にオプションも含めて、少しずつ米ドルのロング(買い持ち)を積み上げているようです。
ユーロに関しても、昨晩「格付け会社ムーディーズがスペインの格付けを引き下げ方向で見直し」と報道されているように、相変わらずユーロ圏から悪材料が噴出しています。
彼らのユーロに対するネガティブな相場観も変わっていません。
ただ、彼らのユーロに対するベア(弱気)な見方は対米ドルのユーロ/米ドルについてだけではありません。
彼らの主戦場は、ユーロ/米ドルのみならず、ユーロ/英ポンドやユーロ/スイスフランといったユーロクロス(米ドル以外の通貨とユーロの通貨ペア)も代表的な取引通貨ペアです。
加えて、ユーロオージー(ユーロ/豪ドル)といった通貨ペアも頻繁に取引します。
そこで、ユーロクロスの代表的な通貨ペアであるユーロ/英ポンドとユーロ/スイスフランについて、詳しく見ていきたいと思います。
■英ポンドは対米ドルで過小評価されており、反発開始へ
英国在住の友人によれば、現在の英ポンドは安すぎるというイメージを持っているようです。
そこで英国の経済指標をチェックしてみると、イギリスの2010年第2四半期、第3四半期のGDPは年率8.00%という伸びを記録しています。
過去6カ月間のGDPの伸び率としても、過去10年にないほど強い数字を示しています。製造業PMIも16年ぶりの高水準です。
このため、英系銀行のレポートを見ると、総じて、英ポンドは過小評価されているといった論調になっています。
英ポンド/米ドル 週足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 週足)
英ポンドの反発が抑制されている要因としては、歴史的に低いイギリスの政策金利(現在は0.50%)が挙げられるでしょう。
しかし、現在の英国のインフレ率は目標水準を大きく上回っている状態ですので、2011年の夏ごろにはMPC(※)が利上げに動くのはないかとの予測が台頭しています。
(※編集部注:「MPC」とは英国の中央銀行であるイングランド銀行(BOE)で定期的に開催されている金融政策委員会のこと)
英ポンドの反発が抑制されている要因としては、歴史的に低いイギリスの政策金利(現在は0.50%)が挙げられるでしょう。
しかし、現在の英国のインフレ率は目標水準を大きく上回っている状態ですので、2011年の夏ごろにはMPC(※)が利上げに動くのはないかとの予測が台頭しています。
(※編集部注:「MPC」とは英国の中央銀行であるイングランド銀行(BOE)で定期的に開催されている金融政策委員会のこと)
利上げされれば、過小評価されている英ポンドが反発を開始すると考えられます。
そのため、来年マーケットで選好されるであろう通貨の1つとして、英ポンドに注目する市場参加者が増えてきています。
なお、この「過小評価」というのは、主に対米ドルである英ポンド/米ドルに関してです。
■ユーロ安・英ポンド高のトレンドはさらに続く
2010年はユーロ圏のソブリンリスク(国家に対する信用リスク)が注目されたため、英ポンドはユーロに対しては堅調に推移しています。
2010年初めごろのユーロ/英ポンドは0.9150ポンド近辺で推移していましたが、現在0.8500ポンドレベルで、ユーロは安値圏で推移しています。
そのため、来年マーケットで選好されるであろう通貨の1つとして、英ポンドに注目する市場参加者が増えてきています。
なお、この「過小評価」というのは、主に対米ドルである英ポンド/米ドルに関してです。
■ユーロ安・英ポンド高のトレンドはさらに続く
2010年はユーロ圏のソブリンリスク(国家に対する信用リスク)が注目されたため、英ポンドはユーロに対しては堅調に推移しています。
2010年初めごろのユーロ/英ポンドは0.9150ポンド近辺で推移していましたが、現在0.8500ポンドレベルで、ユーロは安値圏で推移しています。
ユーロ/英ポンド 週足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/英ポンド 週足)
2011年に入って英ポンドの利上げ予測が浸透してくれば、現在の「ユーロ安・英ポンド高」のトレンドがさらに続くと考えられます。そのため、ユーロ/英ポンドに対する市場の目線は徐々に下がってきています。
ユーロ/英ポンドのターゲットは0.8000ポンド。さらに、下落に拍車がかかることを見込んで、0.78ポンドあたりまでの下落予測も増えてきているようです。
■来年もユーロ/スイスフランの下落トレンドが続く
ユーロ圏経済の失速が顕著になるにつれて、注目が集まったもう1つの通貨はスイスフランです。
2010年は、年初からギリシャ危機がマーケットの焦点となり、ユーロ/スイスフランは年初の1.49フランから、現時点(12月15日)の1.28フランまで、2100ポイントも下落しています。
下落の過程で大きく反発している局面もありましたが、その主たる要因は、スイスの中央銀行であるSNB(スイス国立銀行)による介入です。
今年、大規模介入を実施したSNBですが、2011年に介入を継続する可能性は少なくなっています。それはSNBのバランスシートに問題があるためです。
現在、スイスの外貨準備高はGDPの40%まで膨らんでおり、SNBのバランスシートの75%を占めていると言われています。
このため、来年、ユーロ/スイスフランが急落する局面があるとしても、SNBが単独で大規模介入を実施する可能性は極めて低いと考えられています。
加えて、2011年半ばにはSNBが利上げに踏み切る可能性が高くなってきており、出口戦略が遠のいているECBとの政策の違いが鮮明になる可能性が濃厚です。
結果として、来年もユーロ/スイスフランの下落トレンドが続く(ユーロ安・スイスフラン高が続く)というのがマーケットのコンセンサスになりつつあります。
2011年に入って英ポンドの利上げ予測が浸透してくれば、現在の「ユーロ安・英ポンド高」のトレンドがさらに続くと考えられます。そのため、ユーロ/英ポンドに対する市場の目線は徐々に下がってきています。
ユーロ/英ポンドのターゲットは0.8000ポンド。さらに、下落に拍車がかかることを見込んで、0.78ポンドあたりまでの下落予測も増えてきているようです。
■来年もユーロ/スイスフランの下落トレンドが続く
ユーロ圏経済の失速が顕著になるにつれて、注目が集まったもう1つの通貨はスイスフランです。
2010年は、年初からギリシャ危機がマーケットの焦点となり、ユーロ/スイスフランは年初の1.49フランから、現時点(12月15日)の1.28フランまで、2100ポイントも下落しています。
下落の過程で大きく反発している局面もありましたが、その主たる要因は、スイスの中央銀行であるSNB(スイス国立銀行)による介入です。
今年、大規模介入を実施したSNBですが、2011年に介入を継続する可能性は少なくなっています。それはSNBのバランスシートに問題があるためです。
現在、スイスの外貨準備高はGDPの40%まで膨らんでおり、SNBのバランスシートの75%を占めていると言われています。
このため、来年、ユーロ/スイスフランが急落する局面があるとしても、SNBが単独で大規模介入を実施する可能性は極めて低いと考えられています。
加えて、2011年半ばにはSNBが利上げに踏み切る可能性が高くなってきており、出口戦略が遠のいているECBとの政策の違いが鮮明になる可能性が濃厚です。
結果として、来年もユーロ/スイスフランの下落トレンドが続く(ユーロ安・スイスフラン高が続く)というのがマーケットのコンセンサスになりつつあります。
ユーロ/スイスフラン 週足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/スイスフラン 週足)
ターゲットは、まず1.2500フラン。そして、SNBの利上げがあれば1.2000フラン近辺まで下落する可能性もあります。
こうしたユーロクロスのトレードは、グローバルにはポピュラーな通貨ペアと言えます。
トレンドが明確に出ている局面では、欧米の参加者のようにユーロクロスのトレードに注目するのもパフォーマンスを向上させる1つの方法ではないでしょうか?
ターゲットは、まず1.2500フラン。そして、SNBの利上げがあれば1.2000フラン近辺まで下落する可能性もあります。
こうしたユーロクロスのトレードは、グローバルにはポピュラーな通貨ペアと言えます。
トレンドが明確に出ている局面では、欧米の参加者のようにユーロクロスのトレードに注目するのもパフォーマンスを向上させる1つの方法ではないでしょうか?
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