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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

米ドル/円は150円台を今月回復か! 関税が25%で頭打ち
の可能性、ユーロ/米ドルの1.2000ドルの壁、夏季休暇前
の投機筋の円ロング解消が、米ドル/円を押し上げそう!

2025年07月10日(木)15:35公開 (2025年07月10日(木)15:35更新)
西原宏一

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米ドル/円が一時147円台を回復。対日関税25%発表で、30〜35%へ引き上げされる不安感が払拭され円安が進行

 皆さん、こんにちは。

 今週(7月7日~)、トランプ米大統領が日本からの輸入品に25%の関税を賦課すると発表しました。この発表を受けて円安が進みましたので、その背景を振り返ってみましょう。

円安に転じた主な要因は、関税の発効日が8月1日(金)とされ、新たな交渉猶予期間が与えられたことです。これにより、石破政権が新たな提案を行い、関税率を引き下げられる可能性が出てきました。

 しかし、この交渉はかなり困難が予想されます。米財務省によると、5月には220億ドル(約3.2兆円)を超える関税収入が米政府に流入した模様です。特に4月以降は、相互関税の基本税率10%分が加わり、関税収入が大幅に増加しています。

 そのため、ベッセント米財務長官は7月7日(月)、米CNBCで「反対派は経済の減速やインフレの急上昇を望んでいたが、いずれも起きていない」と述べ、新たな関税引き上げが物価高につながるとの懸念を一蹴しました。

 こうした状況下で、米政権が納得する提案をどこまでできるかが焦点となります。

 しかし、視点を変えれば、仮に新しい交渉に失敗しても対日関税は25%に留まり、この数字が「天井値」であるとも言えます。

 つまり、30%〜35%といったさらなる関税引き上げへの不安感が取り除かれ、不透明感が払拭されたことで、米ドル円は一時147円台まで回復し、日経平均も一時4万円台を回復しました。

欧州通貨のクロス円が続伸! ユーロ円は172.28円の年初来高値、スイスフラン円は184.57円の史上最高値を更新

 次に、当コラムで注目している欧州通貨のクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の動向を見てみましょう。

 当コラムが注目する欧州通貨のクロス円は、今週も続伸しました。ユーロ円は一時172.28円と年初来高値を更新し、スイスフラン円にいたっては184.57円と史上最高値を更新しています。

ユーロ/円 週足
ユーロ/円 週足チャート

(出所:TradingView

スイスフラン/円 週足
スイスフラン/円 週足チャート

(出所:TradingView

 通常、スイスフラン/円が急騰している時は、米ドル/円も上昇する傾向があります。例えば、2023年にスイスフラン/円が33.13円急騰した局面では、米ドル/円も24.68円急騰しました。

 それでは、最強通貨とされるスイスフラン円が史上最高値を更新している中、今年(2025年)も米ドル/円も反発するのでしょうか?

投機筋の円ロング積み上がりとユーロ/米ドルの1.2000ドルの重さが、米ドル/円を150円台に押し上げるか?

 前述の通り、今月(7月)もユーロ/円、スイスフラン/円は高値を更新していますが、今月に入ってからの欧州通貨のクロス円の上昇にはトレンドの相違が見られます。

 例えば、今年前半のユーロ/円は、ユーロ/米ドルの急騰が大きく押し上げていました。具体的には、ユーロ/米ドルが1.0141ドルの安値から1.1829ドルの高値まで1688pipsも急騰する一方で、米ドル/円が140円を割り込めず、米ドル安が進まなかったことが要因で、ユーロ/円は17.48円も急騰しました。

ユーロ/米ドル&ユーロ/円 週足
ユーロ/米ドル&ユーロ/円 週足チャート

(出所:TradingView

 しかし、今月に入ってそのトレンドに相違が出ています。

 7月の初日こそ、今年前半の米ドル安のイメージどおり米ドルは下落し、7月1日(火)に米ドル/円は142.68円まで下落しました。

 しかし、月初来の主要通貨の対米ドル騰落率を見てもわかるとおり、その後は米ドルが全面高となっています。

月初来の主要通貨の対米ドル騰落率

今月、米ドル安が失速している原因は、ユーロ/米ドルの1.2000ドルの壁です。この1.2000ドルを市場に意識させたのが、ECB(欧州中央銀行)副総裁の発言です。


1.20ドルまでのユーロ高見過ごせる、それ以上は複雑=ECB副総裁(7月1日)
欧州中央銀行(ECB)のデギンドス副総裁は1日、対ドルで1.20ドルまでのユーロ高は無視できるが、それ以上の水準は複雑になるとの見方を示した。ブルームバーグTVのインタビューで「1.17ドル、1.20ドルでさえ、見過ごすことができない水準ではない」と指摘。「それ以上になると、かなり複雑になる」と述べた。
また追加利下げは「経済を助けることにはならない」とし、貿易やその他の政策に関する確実性が必要だと語った。
(出所:ロイター)


 前述のように、ユーロ/米ドルは6ヶ月で1688pipsも急反発しており、ECB当局から徐々にユーロ高牽制コメントが出ています。

 こうした状況では、ユーロ/米ドルが1.2000ドルを超えるには一定の時間がかかると想定されます。

ユーロ/円が底堅い環境下で、ユーロ/米ドルの1.2000ドルが壁となって失速するとすれば、米ドル/円が上昇せざるを得ないでしょう。

 加えて、IMM(国際通貨先物市場)通貨先物市場でシカゴ投機筋の円ロングポジションは7月1日(火)時点で12万7338枚と依然高水準にあります。

シカゴIMM通貨先物ポジション推移(日本円)
シカゴIMM通貨先物ポジション推移(日本円)

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移

 この投機筋の円ロングポジションは、8月の夏季休暇前、つまり今月、円を売り返してリスクを減らす可能性が高いため、米ドル/円を押し上げる可能性があります。

 関税が25%でトップアウトとなる可能性、そしてユーロ/米ドルの1.2000ドルの壁、加えてシカゴ投機筋の円のロングポジションが依然高水準であることから、7月の米ドル/円は150円台を回復する局面があるのではないでしょうか?

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView


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今井雅人