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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

スイスフラン/円は180円の最高値超え目指す! イスラエ
ルとイランの軍事衝突はトランプ支持層の結束にも影響。
安全資産のスイスフラン買いは大幅利下げでも止まらない

2025年06月19日(木)14:39公開 (2025年06月19日(木)14:39更新)
西原宏一

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トランプ政権がイスラエルの要求でイランとの軍事衝突に参戦すれば、トランプ支持層の結束を弱めることに

 みなさん、こんにちは。

 今年(2024年)は、トランプ政権の関税を巡る混乱に加え、ロシア・ウクライナ紛争など、金融市場に強い負荷がかかる要因が多数発生しています。

 そのため、過去のコラムでも言及したように、安全資産であるスイスフランは底堅く推移しています。

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 そして先週末、地政学的リスクを一段と高める事態が発生しました。それは「イスラエルとイランの軍事衝突」です。

 6月14日(土)、イスラエルが突然イランへの攻撃を開始し、イランも即座に反撃に転じ、両国は交戦状態に突入しました。

 ここで問題となるのが、米国がこの紛争に介入するかどうかです。

 今週(6月16日~)は地上波でも頻繁に報道されていますが、特に注目されているのが「バンカーバスター」です。

 「バンカーバスター」とは、地中貫通爆弾の総称で、地下深くの強固な施設を破壊するために設計された特殊な爆弾のこと。

 イランのウラン濃縮施設は、数十メートルの強化コンクリートの下に設置されており、この施設を破壊するにはイスラエルの地下貫通弾の能力では不十分とされています。そのため、米国のバンカーバスターが必要となります。

 つまり、米国はイスラエルの要請により、この軍事衝突に参戦するのかどうかに注目が集まっています。

 しかし、これはトランプ支持派の間で意見が分かれることを意味します。

 基本的にトランプ大統領を支持しているのは、MAGA層です。

 MAGAは「Make America Great Again」の略語で、トランプ氏の政治スローガン。その支持層のことをMAGA層と言い、他国の戦争への介入に反対する立場を取っています。

 タッカー・カールソンやスティーブ・バノンといったMAGA層有力者の主張をシンプルに言えば「我々は外国での戦争にうんざりしている」といったところです。

 ただ今回、イスラエルのネタニヤフ首相は、イランの現体制を打倒する「レジーム・チェンジ」を長期的目標にしていると言われており、かなり強いトーンでトランプ政権に協力を求めています。

仮にトランプ政権がイスラエルの要求を受けて「参戦」するようなことになれば、MAGA層の結束を弱めることになるでしょう。

 こうした中東情勢の不透明な状況下、安全資産であるスイスフランに資金が流れやすくなります。

 今回の中東情勢にはもう一つ懸念材料があります。それはホルムズ海峡の封鎖です。

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安全資産のスイスフラン買いと原油高騰の円売りで、スイスフラン/円は180円の最高値超えを目指す

 今回の「イスラエルとイランの軍事衝突」で懸念されるのは、紛争の激化により「ホルムズ海峡が封鎖され、海上輸送が阻害される」ことです。

 多くの報道では、そのような事態は実際には起こらないというトーンが主流です。

 しかし、ロシアがウクライナに侵攻した際、ウクライナは10日程度しか持たないという報道がコンセンサスだったことを踏まえると、「ホルムズ海峡の封鎖」についても一応警戒しておいた方が良いと考えます。

 資産運用会社のINGベアリングスは、仮に最悪のシナリオ、つまりホルムズ海峡の長期封鎖が発生した場合、原油価格が年内に2倍の150ドルという過去最高値に達する可能性があると指摘しています。

 加えて、6月19日(木)のFT(フィナンシャルタイムズ)は、ホルムズ海峡での事故リスクが高まっているという気になる報道をしています。


GPS干渉、ホルムズ海峡の事故リスク高める
6月15日夜、ホルムズ海峡付近を航行していたリベリア船籍の石油タンカー「フロント・イーグル」があり得ない位置情報信号を数回発信し、繰り返し瞬時に数十キロ移動する様子が観測された。フロント・イーグルは翌朝未明に別のタンカーと衝突し、相手側のタンカーが炎上した。衝突の原因はまだ不明だが、イランが制海権を有する海峡付近でフロント・イーグルが見せた不可解な動きは、全地球測位システム(GPS)妨害によるものだというのが専門家の一致した見方だ。GPSへの干渉は近代戦のツールであり、事故のリスクを大幅に高めることにつながる。
(出所:FT)


 ホルムズ海峡のリスクの高まりは原油価格を高騰させます。

原油価格の高騰はインフレ懸念を再燃させ、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げを後退させるでしょう。これは円安要因となります。

 「イスラエルとイランの軍事衝突」という地政学的リスクの高まりは、安全資産としてのスイスフラン買いにつながります。

 結果として、スイスフラン/円は史上最高値の180.00円ブレイクに向けて続伸すると見ています。

スイスイフラン/円 週足
スイスイフラン/円 週足チャート

(出所:TradingView

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SNB大幅利下げでスイスフラン下押しの可能性はあるが、地政学リスクが高い状況でスイスフラン高を止めるのは困難

 スイスフランに関して注意すべきは本日、日本時間6月19日(木)16時30分に発表されるSNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])の発表です(本稿執筆時点は発表待ちの状況)。コンセンサスは0.25%の利下げで、政策金利がゼロになるというものです。

 しかし、SNBのOIS(※)の利下げ織り込み度は1.23回となっており、0.50%の大幅利下げの可能性も否定できない状況です。

(※編集部注:OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ、翌日物金利スワップ)とは、固定金利と変動金利の翌日物レートを交換するスワップ取引のこと。中央銀行の金融政策スタンスに対する市場の見方を観察するのに適した指標として注目されている)

 仮に大幅利下げが実施されると、スイスフランはいったん値を下げる可能性もあります。

 ただ、今回のSNBにとっての問題は、今年トランプ政権が誕生したことから、スイスフラン売り介入という手段を取りにくいことです。

 結果として、金融政策によってスイスフラン高を抑制する必要があるため、SNBはむやみに大幅利下げという手段は取れないと見ています。

 もし0.50%の大幅利下げを決定すれば、マイナス金利に突入することになり、一時的にスイスフラン高を止められるかもしれませんが、SNBにとって次の通貨高抑制カードがなくなることを意味します。

 よって、現在の地政学的リスクが高い状況では、スイスフラン高を止めるのは困難だとみています。

 「イスラエルとイランの軍事衝突」という地政学的リスクの高まりは安全資産としてのスイスフラン買いを促し、一方、原油の高騰は円売りをもたらします。

 結果として、スイスフラン/円は史上最高値の180.00円ブレイクに向けて続伸すると見ています。


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