昨日の欧州市場は、スイス中銀がゼロ金利政策に移行することを発表して始まった。そもそも日本円以上にスイスフランが買われているのだ。通貨政策であるのは言うまでもない。ちょっと前まではドルスイスがパリティを割り込んだということで騒いでいたのに、今や0.80台も下回ってきた。
1年前にはスイスフランが高過ぎるというので、ユーロスイスの買い介入をしていたものだ。その頃のユーロスイスは1.45台だった記憶している。それが昨日の為替相場ではついに1.07台までスイス高が進んでしまった。中央銀行としてはすでに金利面で手段が少なくなってきたので、なんとか方法を見つけてスイス安に持っていきたいところであろう。
それでもドル安の流れは総じて変わらず。ニューヨーク市場に入ってADPの雇用指数が良くてもドルの買い戻しは限定的なものにとどまった。私は相変わらず、スモールでのドルロングで攻めてみている。別に私が介入を期待しているわけではない。世の中が期待している分だけ、相場の下げが実に遅いからだ。それで介入もどきでも十分に大きく跳ね返る。
トレンドが下向きな分だけ、同じ方向を攻めるのは時間がかかるし、ショートカバーなどでの巻き返しの値幅のほうが大きかったりするので、この局面ではトレンドフォローは不利だと見ているからだ。タイトストップで対処しているのでダメージは少ない。すぐにドルロングのポジションを作り直したりしているので、実質的には様子見をしながらのロング持ちっぱなしと変わらない。
米国株が今年の最安値を抜けてきた。これで今年の株券の購入者は全滅になるので、一斉に巨大な損切りが出てきた。マーケットはリスク回避に向かい、クロス円の代表であるユーロ円も109円台に逆戻りとなった。
ダウ平均が300ドル近く急落しているというのに、ドル円は堅調だと言える。ニューヨーク時間の安値は76.80くらいだった。とても歴史的な安値をトライするどころではない。前日の日経新聞での記事が外人勢に向けて効果があったのだろうか。
さて本日だが、10時過ぎに為替介入があった。東京時間の終わりまでに2円くらいは上がったが、肝心の目的であるところの株価が振るわなかった。78円台に乗せる頃までは日本株も上がっていったのだが、79円台ではもはや無反応。むしろ東京クローズにかけては株価は下がり、日中の上げ分をすべて吐き出した。
これでは為替介入自体が失敗だったと言える気がする。円相場のレベルを押し下げるのが目的ではなく、景気に与える悪影響を除去するのが目的なのだから、ここは役所仕事的にこなすのではなく、野田大臣が口頭で言っているように「効果的に」やってほしいものだ。
今晩はECBとBOEの金利会合がある。しかしマーケットの注目は、昨日の急落を演じた米国株の動向に傾いている。米国オープンと同時に米国株が安値を模索するようであれば、ドル円を売り込んでいきたいと考えている。
今のところ、介入の余波でドル円は上がり続け、80円ちょうどを睨んだ攻防に持ち込まれている。ただ80円ちょうどを目前に急落するなど乱高下も見せているので、レートを決め打ちすること避けたい。
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