■イタリア国債の入札が不調で、ECBの利下げ観測も台頭
前述した米国に対する金融緩和期待は、米ドル/円のみならず、ユーロ/米ドルにも大きな影響を与えています。
依然くすぶるユーロ圏の混乱は、ユーロに対してネガティブです。それにも関わらず、米国に対する金融緩和期待が高い中で、ユーロ/米ドルは一時1.4500ドルを突破して上昇しました。
巨大なバリアがあると言われている1.4600ドルに向かって、8月29日(月)には一時1.4550ドルまで到達したのです。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
ところが、今週のイタリア国債の入札が不調だったため、ユーロの動きに変化が出てきています。
入札が不調だったためにイタリア国債のスプレッド(金利上乗せ幅)が拡大し、それをきっかけに、ユーロの金利が低下したのです。そして、市場の一部にECB(欧州中央銀行)の利下げ観測が台頭してきました。
■ユーロ/スイスの反落はユーロ/米ドルの売り圧力になる
これに素直に反応したのが、ユーロ/スイスフランでした。
SNB(スイス国立銀行)の自国通貨高抑制策をきっかけにして反発を開始したユーロ/スイスフランですが、その上昇は加速し、8月29日(月)には
一時1.1974フランまで急騰しました。
しかし、ユーロ/スイスフランはイタリア国債入札の不調をきっかけに大きく反落し、本原稿執筆時点では1.1570フランまで値を下げ、すでに400ポイントも下落しています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/スイスフラン 4時間足)
ユーロ圏の混乱にも関わらず、ユーロ/米ドルが1.45ドルをも超えて上昇し続けてきた背景には、ユーロ/スイスフランの高騰がありました。
したがって、今週に入ってからのユーロ/スイスフランの反落はユーロ/米ドルの売り圧力となっており、ユーロ/米ドルは本原稿執筆時点では1.4370ドルまで反落しています。
今週行われたイタリア国債の入札が不調だったことをきっかけに、ユーロの金利が低下してきました。さらに、浮上してきたECBの利下げ観測もあり、ユーロ/米ドルの下落は徐々に鮮明になってくるのではないでしょうか?
今週初めから、ヘッジファンドの友人はユーロの反落に備えて、ユーロ/米ドルのダウンサイドのオプションを物色しているそうです。
9月に入り、多くの市場参加者が夏休みからマーケットに戻り、流動性は回復してきています。例年、9月は8月とは違ったマーケットになる傾向があります。
8月相場は、ある意味、「スイスフランの暴騰と暴落」に終始した相場でした。
9月相場のテーマを見極める意味においても、1.4550ドルから反落を開始したユーロ/米ドルの動向に注目です。
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