みなさん、こんにちは。
■「QE3」の言及はなかったが、金融緩和期待は残った
マーケットの注目を集めた8月26日(金)のジャクソンホールにおけるバーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長の講演でしたが、「QE3(量的緩和政策第3弾)」に関するコメントは出ませんでした。
ただ、そのままですと、株やコモディティに悪影響を及ぼします。よって、バーナンキ議長は次のコメントを追加しています。
「9月20日のFOMC(米連邦公開市場委員会)を21日まで延期する」
このコメントにより、マーケットの金融緩和期待を、9月21日(水)のFOMCまで引っ張ったのです。

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市場に米国に対する金融緩和期待が残ったため、米国の金利と相関性の高い米ドル/円の上値も、これまでのところは限定的となっています。
■米ドル/円は当面、76.00円~78.00円のレンジ相場か?
前回のコラムで、「米ドル/円はいったん反発の可能性がある」とご紹介させていただきました(「スイス高に続き、円高もいったん収束へ。日本の円高対応策は徐々に効いてきそう」を参照)。
米ドル/円は77.71円まで反発する場面もありましたが、8月の月末に向けて本邦輸出企業の米ドル売りが出たため、それに阻まれて76円台後半まで下落しました。今週の大半は、76円台後半のこう着相場に終始しています。
ただ、9月初日である本日の東京市場では、米ドル/円は某邦銀による大口の米ドル買いの影響もあって、77円台を回復しています。
引き続き、78円台には米ドル売りの注文が厚く並んでおり、米ドル/円の急騰は期待できないのですが、8月を通して76円台前半が底堅く、依然として下値も限定的です。
米ドル/円は当面、76.00円~78.00円のレンジでの推移でしょうか?

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米ドル/円の行方は、FRBも注目している米国の経済指標が大きなカギを握っています。
そのため、米ドル/円に関しては、9月2日(金)の米国雇用統計の結果に注目です。
■イタリア国債の入札が不調で、ECBの利下げ観測も台頭
前述した米国に対する金融緩和期待は、米ドル/円のみならず、ユーロ/米ドルにも大きな影響を与えています。
依然くすぶるユーロ圏の混乱は、ユーロに対してネガティブです。それにも関わらず、米国に対する金融緩和期待が高い中で、ユーロ/米ドルは一時1.4500ドルを突破して上昇しました。
巨大なバリアがあると言われている1.4600ドルに向かって、8月29日(月)には一時1.4550ドルまで到達したのです。

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ところが、今週のイタリア国債の入札が不調だったため、ユーロの動きに変化が出てきています。
入札が不調だったためにイタリア国債のスプレッド(金利上乗せ幅)が拡大し、それをきっかけに、ユーロの金利が低下したのです。そして、市場の一部にECB(欧州中央銀行)の利下げ観測が台頭してきました。
■ユーロ/スイスの反落はユーロ/米ドルの売り圧力になる
これに素直に反応したのが、ユーロ/スイスフランでした。
SNB(スイス国立銀行)の自国通貨高抑制策をきっかけにして反発を開始したユーロ/スイスフランですが、その上昇は加速し、8月29日(月)には
一時1.1974フランまで急騰しました。
しかし、ユーロ/スイスフランはイタリア国債入札の不調をきっかけに大きく反落し、本原稿執筆時点では1.1570フランまで値を下げ、すでに400ポイントも下落しています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/スイスフラン 4時間足)
ユーロ圏の混乱にも関わらず、ユーロ/米ドルが1.45ドルをも超えて上昇し続けてきた背景には、ユーロ/スイスフランの高騰がありました。
したがって、今週に入ってからのユーロ/スイスフランの反落はユーロ/米ドルの売り圧力となっており、ユーロ/米ドルは本原稿執筆時点では1.4370ドルまで反落しています。
今週行われたイタリア国債の入札が不調だったことをきっかけに、ユーロの金利が低下してきました。さらに、浮上してきたECBの利下げ観測もあり、ユーロ/米ドルの下落は徐々に鮮明になってくるのではないでしょうか?
今週初めから、ヘッジファンドの友人はユーロの反落に備えて、ユーロ/米ドルのダウンサイドのオプションを物色しているそうです。
9月に入り、多くの市場参加者が夏休みからマーケットに戻り、流動性は回復してきています。例年、9月は8月とは違ったマーケットになる傾向があります。
8月相場は、ある意味、「スイスフランの暴騰と暴落」に終始した相場でした。
9月相場のテーマを見極める意味においても、1.4550ドルから反落を開始したユーロ/米ドルの動向に注目です。
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