今週から新年度である。ちょっと為替相場の動向を振り返っておきたい。去年の年越しあたりのムードはまったく一変しており、2012年予想とかを出していたアナリストも、すでに多くが外れているようだ。なんといっても今年に入ってからの株価などの急回復が、リスクテークの流れをリードして、今に至っているとも言える。
ドル円では、去年の10月末の為替介入で75円台から79円台ミドルまで戻したが、日本円の買い圧力は強く、76円台をボトムに円高傾向は変わらなかった。これも欧州の信用不安からのリスク回避がメインだった。しかし2月14日の日銀会合を境に、どことなく見直し買いが入り、日経平均株価が9000円を突破してきたのも、市場のムードを明るくした。
それまでドル円の上値のメドだった79円台もなんとか越えてくることに成功すると、相場は一気に84円台まで上昇。3月になって2回トライしたが押し返されて、今のところテクニカル的に強力なレジスタンスを形成している。最近はドル円は82円割れもうかがうほどの調整モードに入っているが、80円を割り込まない限りはトレンドの反転にはならないだろう。
ユーロ円もドル円に沿った動きになっており、昨年10月末の円売り介入で111円台まで戻したものの、年末年始はユーロ円の下値模索が続き、97円台まで下落。これも2月にはいって復調が鮮明になってきて、3月には111円台のミドルまで戻した。ドル円と違って、ユーロ円は前回の高値とほぼ並んだだけで、クリアにブレークしきれていない。結果としてダブルトップの形状から、これまた111円台がストロングなレジスタンスとして立ちはだかっている。
ユーロドルだが、夏場の信用不安からのマックス戻しが10月末の1.42台。その後は一方的にユーロ売りが進んで、年末には1.30台の大台も割り込んできた。年足で陽線になるか、陰線になるか注目されたが、結局はやや院線となってしまった。その流れで1月には1.26台まで差し込んだが、ギリシャの支援問題が前進するなどして、2月には1.34台まで値を戻した。
そしてその後のユーロドルは1.30台から1.34台までのレンジに入ってしまったという感があり、最近のユーロドルはダイナミックな動きを見せないようなってしまっている。先週などだけ見ても、ほとんどユーロドルは1.33台だけでやっていたような印象を持ってしまう。
そのようにちょっと手詰まり感の出てきた為替相場であるが、フレッシュな材料を求めている事はたしかである。外部環境的にいえば、米国株は金融危機後の最高値圏まで上昇した後は、ここ週間ほどは毎日、円幅の小さい日々を過ごしているということだ。リスクマネーの中で方向感が出て来ない以上は、為替相場だけで先走れるものではない。
週末には米国でのグル―ポンの悪材料が出た一方で、中国の景況感が悪くなかったというトピックもあり、新年度の新規資金が入るであろう週明け早朝の為替相場やグローベックスでの株価動向が注目された。米国株は大きく値上がりして始まり、そしてドル円も瞬間的に83円台に乗せた。また日銀短観は予想を下回ったものとなり、これが日本円の売りを加速させる結果をもたらした。
円安が進行したことで日本株は堅調含みで、とりあえずアジア時間はリスクオンの形で入ったが、欧州序盤ではだいぶ静かである。中国本土もここ3日間は清明節でお休みであるし、中華圏の市場もお休みモード。今晩はISM景況感くらいしかイベントはない。あまり気張って相場に入ることもないが、株価が高いところにへばりついている状況なので、やはり株価動向を見つつ円相場はキープウォッチしたいとは思う。
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