昨日の海外市場では、スペインの信用不安がトピックの中心になった。スペイン中銀の総裁が国内景気の悪化を示唆し、銀行に対して追加支援も必要だろうと言ったからだ。先月の後半あたりから、イタリアやスペインの信用スプレッドが拡大してきており、何の前触れもなかったわけではない。しかしマーケットのほうは過敏に反応した。そもそも米雇用統計のあとはリスク回避が進んで、リスク性の高い相場はおしなべて傷ついている。そこへ持ってきての信用不安の増大だからたまったものではない。
欧州時間では株安は進んだものの、結果的に大きな崩れはニューヨーク時間に移行してからだった。ドル円は明確に80円台に突入し、ユーロ円もすでに106円台に沢山のオファーを残して重くなりつつある。円の買い戻しが強力に進む中、米国株が一段安し、クロス円も一段安。米国株はクローズにかけてだいぶ戻したが、日経先物は9345円の安値を付けた後に、9360円で引けている。翌日のアジア早朝の値動きがどうなることか。
そうした感想は私に限らず、今日は昨夜の株安という大きなリスク回避から、どのようにアジア時間が進展するのかに関心が集まったはずだ。このまま株価や原油相場が安いほうへ下値模索するならば、市場の多くのプレーヤーもポジションもリスクオフに傾けるだろう。どんなに安くてもユーロ円やポンド円を売っていくだろうと想像がつく。しかし実際には日本株は安く始まっただけで、その後はひたすら堅調な展開を示した。
私もクロス円は売り態勢でいたので、106円台で売ったユーロ円ショートを抱えてアジア時間を待っていたのに、なんとも拍子抜けしてしまった。もちろんこの朝のステージで、ユーロ円はクローズ。それにしてもこのような動きにはちょっと驚いた。別にニューヨークのクローズ後に発表されたアルコアの決算が良かったからというわけでもあるまい。もしそうならば朝いちの段階から株高の状況になっていないとおかしいからである。
どうやら夜にも出ていた観測記事が蒸し返されたようで、日銀は次回の会合では、買い入れ資産の増額を測るだろうというものだ。これによって日本株は堅調な地合いを維持し、それにつれてクロス円もひじょうにしっかりとした足取りとなった。ユーロ円は105円台のミドルまで差し込んでいたものが、106円台まで回復。ドル円は80円台のままだが、それでもいちおうの底打ち感は出た。
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