昨日の欧州序盤では、ドル円は98円台に乗せて始まった。アジア時間に出た中国の景況指数が著しく改善していたからだ。それで日本株も安値攻めから反転し、堅調な展開に。そしてマーケット全体のリスク許容度が増大していくなか、ドル円も98円台に乗せてきたのだった。そしてアジアンクローズのあたりで出てきたドイツの景況指数も予想を上回るものだった。
夜になってニューヨーク時間になると、きっとこれらが材料にされるなと思った私は、ドル円をスモール買っていった。すでに高くなっていた。アジア時間の高値は98.30あたりまでだったが、それをも越えてきた。仕方なく98.41でマイン。高いところを買って持っているのは怖いが、高くなっているのだからという安心感もある。10ポイントもアゲインストにいったら即座に切るつもり。
ドイツが欧州全体のGDPの半分近くを占めるのだから、ドイツの景況感が良ければ当然のごとく、ユーロ圏の景況感も良いはず。少し遅れて発表されたユーロ圏の景況感も予想を上回るものであった。それでドル円は一段高。98.80近くまで上がった。私は上がってきたところを調子に乗って98.69でも買い増したのだが、トップをつけた後に実際に売りにいったのは98.70。買い増しの妙は得られなかったことになる。その後は若干ドル円は下がったものの、押し目は浅い。
ニューヨーク時間ではほとんど動かずだったが、今日の朝になってドル円が昨日の安値を上抜けしてきて、99円台に乗せてきた。それでも99円台にはたくさんのオファーがあるようで、一撃でブレークというわけにもいかず、オファーをこなしながらといったところ。欧州勢が参入してくる頃には、日米ともに株価の伸びも一服している。ちょっとドル円やユーロ円でリスクテークの方向、すなわち上値追いするにはちょっと苦しい状況だ。
さて、昨今は新興国の通貨安が大きな問題になっている。これまでずっともてはやされてきたブラジルやインドでも、たまりかねて自国通貨買いの為替介入を行っている。エジプトのような騒動の当事国ならまだしも、トルコリラも安くてたまらずに金融当局の買い支え出動している事実がある。これは日本の円安政策に引きづられての側面が強いことを忘れてはいけない。
なんだか思うに、これは過去に来た道に似ている。ドル円が100円を割り込んできて円高だと騒ぎ、1995年の春にはドル円が80円をも割り込んだ。その後、ミスター円なる財務官が大量に実弾介入して底割れは防いだが、1996年の春には110円台まで上昇。株価も14000円台の前半から2万円乗せまで上がった。
株価は持ち直しには良かったのだろうが、急激な円安は他の国、特にアジアの近隣諸国を苦しめることにつながる。その翌年の1997年の夏には香港から発したアジア危機。インドネシア、フィリピン、タイに伝播し、冬場には韓国に飛び火。ほとんどのアジア諸国がIMFの管理下に入った。1998年にはいるとロシアまでおかしくなり、国債の償還がデフォルトしたほどだ。
その間、日本の国内事情も悪い。大手の証券会社が倒産したり、半官半民の政府系の銀行もなくなった。そしてついにドル円は147円台までのぼりつめた。ここで折り返すとは誰も思っていない状況だった。これまで80円台から110円くらいまで押し上げ介入をしてきたのだし、140円台を越えた状態になってからは純然たる日本売りのファクターも加わっている。
しかしそうしたドル高、円安、及び当時の通貨であるマルク安は、他の国へ与える影響が大き過ぎる。それまで「強いドルはアメリカの利益」を繰り返していたルービン財務長官も、日本といっしょにドル売り介入することで一致した。榊原財務官も最後の最後でドル安のマニピュレートに手を貸したことになる。
ドル円はその直後から明確なダウントレンドになった。1日に10円も落ちる日すらあった。しかし結局は、ドル安が世界を救ったのかもしれない。それ以降のアジア新興国の立ち直りは目覚ましいものがある。
今回のアベノミクスでもたらされた円安が、日本経済の問題だけに留まっているうちはいい。それが今回のように外国の経済にも間接的に悪影響が及んでくるようになると、これは15年前を同じ道を繰り返すのではなかろうかとちょっと危惧の念を抱く。ちなみに15年前はITバブルという時期がすぐに続いたために救われた。今回は金利や為替の調整だけで済むのかどうか…。15年前の再来で、他国を救うために、アメリカなどからの要請でドル売り介入を手伝うことになってしまうことになるかもしれない。
日本時間 15時30分
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