■フランス当局のコメントに注目、ユーロ下落の兆候?
そして、マーケットの注目を集めているのがフランス当局からのコメント。
「ユーロは強すぎる、ユーロ圏の経済成長と雇用市場の改善のためにも、(ユーロ高をけん制するような)金融政策を取る必要がある」パルス首相
「EU(欧州連合)条約によると、為替政策については、政府にも(介入)権限がある」モントブール経済相
マーケットでは、フランスからのコメントが目立つようになると当局が動く可能性が高まってきているというのがコンセンサス。
加えてマーケットの注目を集めたのが、ジョージ・ソロス氏の下記のコメント。
「フランスは欧州の中の病人、ECBはようやくデフレを認識するようになった。
スペインはフランスより構造改革の面で努力している。フランス政府は行動する勇気が欠けている」
(出所:レゼコー紙)
ジョージ・ソロス氏がこうした発言をするときは、もうすでに反落に対する準備ができているとの連想も……。
ともあれ、本稿執筆時点、5月15日(木)のユーロ/米ドルは日足の一目均衡表・雲の下限である1.3722ドル近辺で推移。
(出所:米国FXCM)
また、週足の一目均衡表・基準線(=1.3696ドル)とオプションのエクスパイアリー(満期日)がまとまっている1.3700ドルレベルでサポートされていますが、オプションからの売り返しも強く、上値が重い展開となっています。
(出所:米国FXCM)
■ユーロ/円下落継続なら、米ドル/円は重要サポート割れも
来月、6月のECB理事会がどういった内容になるのか現時点ではわかりません。その中で、短期のヘッジファンドは来月のECB理事会に向けてユーロ/米ドルのダウンサイドのオプションを物色中。
ユーロクロス(ユーロと米ドル以外の通貨との通貨ペア)も軒並み下落していますが、注目はユーロ/円。
米金利がなかなか上昇してこないことから、狭いレンジではあるものの、米ドル/円は何度も101円台まで押し戻されています。
結果、ユーロ/米ドルと米ドル/円の合成通貨であるユーロ/円はじり安の展開で、5月14日(水)には日足の一目均衡表・雲の下限(140.02円)をブレイクし、一時139.46円まで急落。仮に基準線と転換線がクロスすると三役逆転となり、下落幅がさらに拡大する可能性があります。
(出所:米国FXCM)
このユーロ/円の下落が続くと、長期に渡ってサポートとなっていた米ドル/円の101.20円と100.75円をブレイクする可能性もあります。よって、米ドル/円のトレードに関しては、ユーロ/円の動向にも警戒が必要です。
(出所:米国FXCM)
ともあれ、ドラギ総裁のコメントにより、今回も1.4000ドルのブレイクに失敗したユーロ/米ドルは上値が極めて重くなっています。
レジスタンスは1.3850ドル、サポートは1.3650ドル。
仮に1.3650ドルをブレイクすれば、下値余地が大幅に拡大。
ようやくドラギ総裁が6月の緩和策を示唆したことで、今後はユーロ/米ドルやユーロクロスの動向に注目です。
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