昨日は注目の最大イベントであるECBの金利会合であった。ユーロドルはここ最近、1.3580から1.3650のゾーンにはまってしまっている。そして日足のチャートなどで見ても明らかなように、この水準は安値張り付きである。言うまでもなくユーロの金融緩和を期待してのことであった。すでにマーケットのコンセンサスでは0.15%幅の利下げを見込んでいる。だから実際にそれだけの利下げを行っても、市場のサプライズにはなりえない。
欧州序盤ではユーロドルはいつもの位置。1.3600前後の小動きである。すでにECBの為の様子見の態勢になっていた。欧州株も米国株も歴史的な高値のレベルで張り付いたままなので、一段高にはさらなる材料がほしいところ。BOE(英中銀)は金融政策に変更はなし。そしていよいよECB(欧州中銀)の出番である。
利下げはした。しかし0.10%幅のみだった。予想よりも少ない利下げ幅。ユーロドルは1.35台に突入したが、すぐに買い戻された。私もユーロの金融緩和が足りないのではないかと思っていたので、戻りっぱなの1.3607を買っていった。あまりにもチョッピーに動くので、10ポイント位の動きは軽い。
すぐにユーロドルは1.3620を越えてきたので、1.3600に売りのストップ注文だけは入れておいた。そしてユーロのショートカバーが始まるかに見えたが、上限のほうで引っかかってしまった。1.3650付近では売りたい人、売りそびれてしまっている人も多いのだろう。1.3645あたりまで上がったのは目で見えたが、すぐに1.3620あたりまで後退。
私も逃げないといけないと感じて、なんとか1.3628で売ることができた。これで上値がきれいなところで止まったことになり、1.3650を越えてこないとユーロロングでは攻めれないことになった。この間、10分もない。すぐにユーロドルは1.35台にまで押し込まれた。
さて今回の決定では、銀行が中銀に積む準備預金の金利をマイナスにした。金利にはマイナスの概念はないので、これは実質的な手数料とみなされる。イスラム世界では利息を取ることは禁じられているので、代わりに手数料という形で利息を取る。それのちょうど反対で、中銀への資金積み上げには手数料がかかることになったのだが、それをマイナスの金利と表現したものだ。
ともかくも準備預金は最低限に絞るにしても、量は法律で一定額を定められているので、それは銀行のコスト増となる。貸し出しの増大を目論んだ方策であったろうが、それがかえって資本収縮、またはデフレの芽となる可能性も秘めている金融政策である。
ユーロドルは1.3502まで安値を拡げたが、これにはユーロロングのストップロスもあったからだろう。ドラギ総裁の発言が進行するにつれて、ユーロの買い戻しが優勢となった。ユーロドルは1.36台まで戻しきり、ニューヨーク時間でもユーロ買いの意欲は強まった。ユーロドルはECB発表以前のレベルまで押し返されて、そのまま高値圏での引け。ユーロは全面高となった。
さて今晩は雇用統計。水曜日に出た民間調査では予想を下回ったので、すでに期待は薄らいでいる。就業者数は20万人以上の増加が見込まれているが、18万人くらいでも市場はあまり驚かないだろう。むしろ予想通りに21万人とか出てくるほうがサプライズになるのではないだろうか。ただし米国株が昨日の上昇によって歴史的な高値の位置しており、かなりの高値警戒感がでているのも要注意だ。
水曜日に出たADPが悪かったのに反応しきれなかったのは、ECB会合への期待があったからであり、雇用関連のデータが悪かったことをマーケットは織り込んでいない。雇用統計だけで判断するのは困難かもしれない。昨日から続いているユーロの反転上げ基調に乗ったほうがうまく行きそうな気もする。
日本時間 15時30分
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