■アベノミクス効果が浸透していない証拠が…
日本の場合に限定にしてみると、アベノミクス効果の剥落は一段と進むだろう。2014年年初来、日経平均は欧米株についていけなかったが、欧米株と連動して、さらに欧米株の下落幅を超える下落スピードを、引き続き警戒しておきたい。年金基金による株価対策は限界がおのずと決まってくる以上、官制材料による官制相場が長続きするはずはない。
その上、アベノミクスの効果は宣伝されたほど浸透していない疑いも濃厚になってきた。
内閣府が7月10日(木)に発表した5月機械受注統計によると、民間設備投資の先行指数とされる「船舶・電力除く民需」の受注額は前月比19.5%も減少し、マイナス幅は統計開始(2005年4月)以来最大だったことが、目下の現状を物語る。
多くの項目だけを並べ、実行プロセス不明瞭な成長戦略も、目玉とされる法人税減税構想について、甘利担当相が本日になって「5年を軸に6%弱下げ」といったプランを提示。従来のスパンや目標から大幅に後退したプランとなっている。
事実上の国際公約となった構造改革もこの程度のものなら、マーケットの厳しい審判がこれから下されるだろう。
■中短期的にパフォーマンスが良いのはクロス円ショートか
いろいろ書いたが、要するに内外にわたって足元ではリスクオンからリスクオフへ展開していくタイミングにあり、ショックがあれば、これから大きくなっていくだろう。
ゆえに、為替市場における基調は米ドル高・円高のセットで、クロス円のパフォーマンスが中短期スパンにおいてもっとも良いとも推測される。
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もちろん、ここでいう良いパフォーマンスは、ロング筋にとってではなく、ショート筋にとっての話である。同じ意味では、これから日経平均の下落もショート筋にとって良いパフォーマンスにつながるものだ。
■米ドル/円は来週にも100円の大台割れか
米ドル/円については、筆者は一貫してスタンスを維持しているので、ここまで来て煩わしい説明はもういらないのではと思う。
2014年2月から、米ドル/円は大型レンジ相場を形成してきた上、歴史的な低い変動率を記録しているから、これがいったん打破されると、世間を驚かせるスピードを見せるだろう。来週(7月14日~)にでも100円の大台割れを覚悟したい。
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それに、「悪い米ドル高」の進行があれば、ユーロのみならず、そのほかの外貨も売られやすいだろう。
英ポンドも豪ドルもすでに頭打ちしたと思われ、これからユーロに追随して下落トレンドを展開していく公算が高い。
また、反落していくと、それぞれの悪材料が出る宿命にある(英国はEU離脱やスコットランド独立問題、豪州は失業率や中国景気の影響などが想定される)ので、その時はサプライズと言うべきではなかろう。
米ドルは円以外の外貨のみに対して強くなるので、クロス円の下落スピードは一段と加速していくだろう。たびたび指摘してきたように、ユーロ/円は136円の大台割れで、132~133円といった下値ターゲットに照準。場合によっては一段とターゲットを下方修正できると思う。
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市況はいかに。
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