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材料や思惑があっても米ドルは買われていない! 米ドルの先安感はむしろ強化されている!?
中東有事に続き、米金融政策の思惑があって、米ドルはいったん買われるのでは、といった見方もあったが、執筆中の現時点では、その見方は裏切られたようだ。ドルインデックスは再度98の節目前後に沈み、上値をトライする気配はあまり見られていない。
テクニカル上のポイントは一目瞭然だ。昨日(2025年6月19日)筆者のXにて指摘したとおりの展開となっている。
罫線引きの銭失い? #fx #ドル指数 pic.twitter.com/XMCQsNXMV7
— 陳まさと@プライスアクション (@chinmasato) June 19, 2025
現時点のチャートは以下のとおりだ。

(出所:TradingView)
となると、いろんな思惑があって、いろんな材料があるが、米ドルは総じて買われていないから、米ドルの先安感がむしろ強化されているかと思う。
なにしろ、バンク・オブ・アメリカによるある統計が、市場関係者の心理に影響を与えた。同統計によると、機関投資家の米ドルに対する弱気のスタンスが鮮明で、オプションなどを含め、過去20年でもっとも多い米ドルのショートポジションを積み上げている模様だ。
俗に言えば、いわゆる「猫も杓子も」米ドルに対する弱気のスタンスを取っているから、本来いったん買い戻しがあってもおかしくなかったが、「有事の米ドル高」が観察されていないうえに、米金融政策に関する思惑も効かなかった。
市場参加者の多くは、まったくと言っていいほど動揺していないから、米ドルはこれからも売られていくだろう。
米ドル安の中、米ドル/円は横ばいでドルインデックスとはかけ離れた市況
半面、米ドル/円はやや異なる様子を見せている。米ドル全面安の進行があっても、米ドル/円は5月末の安値を割らずにじわじわ切り返してきた。決して円安の基調ではないものの、横ばいの状況が鮮明で、ドルインデックスとかけ離れた市況を保っている。

(出所:TradingView)
プライスアクションの視点では、5月27日(火)の陽線(上のチャートの1)が「強気リバーサル」のサインとして支配力を持ち、今月(6月)以降の保ち合いをもたらした。
半面、5月29日(木)の「スパイクハイ」の陰線(上のチャートの2)が本来弱気のサインとして有力視されたが、効き目がなかったからこそ、一転して「磁石」のような存在となり、レートが吸い寄せられる、という可能性のほうが大きい。
ユーロ/円は上値余地拡大、性急な戻り売りは避けたい
だからこそ、前回(6月13日)本コラムをもって指摘したように、ユーロ/円などクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)がいったん上値指向を強めるはずだった。
【※関連記事はこちら!】
⇒米ドル安の流れは変わらず、一時的な切り返しがあってもトレンドの修正はないと見る!ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルに高値更新の可能性、米ドル/円の下値は?(2025年6月13日、陳満咲杜)
168円の節目をトライしようとしているユーロ/円は、すでに2024年10月高値の上に定着、ここから本格的なブル(上昇)トレンドを形成するまでは至らないとしても、さらに上値余地を拡大する可能性がある。性急な戻り売りは避けたいところだ。

(出所:TradingView)
当然のように、米ドル全体の一段安があれば、今まで受け皿として買われてきたユーロや英ポンドなど主要外貨は引き続き買われていくだろう。ユーロの連続利下げなどはまったく材料視されなかったから、乱暴な言い方をすれば、実はEU(欧州連合)のファンダメンタルズ云々は、ユーロの高安とあまり関係ない。
したがって、これからユーロの一段高がほぼ確実視されており、また、その高騰ぶりを見て、いろんな「後解釈」が流行り出すのも容易に想定できる。実はすでに出ているので、少し触れおきたい。
メガバンクの1つに所属する某アナリストは、円安(要するに米ドル高)論者として注目されているが、最近の米ドル安の進行で幾分旗色が悪くなってきたため、「米ドルの覇権消滅、代わりにユーロが基軸通貨になる」というような論調を展開している。要するに、円安は米ドル/円からユーロ/円へと主役交替、という予測である。
言葉は悪いが、よくもそのような勘違いの認識をもってメガバンクのアナリストを務められたものだと思う。結論から言えば、ユーロは先天的、構造的な欠点を抱え、仮に米ドルがその覇権を失ったとしても、ユーロがその代わりにはなれない。ましてや、米ドル覇権の消滅なんかは杞憂のほかあるまい。
当然のように、目先ユーロ/円は強くても、これから継続的なユーロ高・円安のメイントレンドは形成しにくい。
このあたりの展開はまた次回、市況はいかに。
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