ドル円は103円台にチョビっと触れて、そして102円台の後半で迎えた金曜日の雇用統計であった。ドル高なのはGDPの結果である。しかし同時進行的に同じ日に確定したアルゼンチンのデフォルトの話題も、マーケットの重しになりつつある。木曜日には米国株は大幅下落し、その分のリスク回避が為替相場では現れていない。そして金曜日の欧州序盤でも再び欧米の株価は激しく安値攻めで始まった。
ドイツ株は歴史的な高値を付けていた頃よりはすでに1割近くも調整しており、米国株もそれに次ぐ。かなりの調整幅である。いままでポルトガルやアルゼンチンの信用不安を軽視してきたことに加えて、イラクやイスラエル、そしてウクライナの紛争で何もパニックが起こらなかったので、楽観論が行き過ぎたためだろう。その反動は大きく出ている。
欧州序盤からこんな展開になっているのだから、マーケット参加者の目はリスクのほうに向かってしまうのは仕方がない。雇用統計は重要な指標であるが、雇用は遅行指標でもあり、重要度が相対的に低下してきた。しかも先日に発表された民間調査も若干、悪かったので、今回の雇用統計ではある程度の悪さを織り込んでしまっている。就業者数も増加が20万人を下回ってこない限り、市場には耐性ができているようにも見える。
外部環境がすこぶる悪いので、私としてはリスク回避の方向で構えることにした。ドル円ならばショートだ。どこで売るかだが、103円台では売り込みたいものの、そこまで上がる保証はない。102.90アッパーなのだから、同じようなものではないかとも思うが、GDPの後にたまたま1円近くも上がったから言えるものの、また動かなくなったら困る。
だから売るところを選びたい。まあ動いていないのだから、指標が出てからでもよいだろう。しかしこれだけ欧州株やグローベックスでの米国株が大幅安をさらにしているのに、為替相場が鈍感なのも、ある意味では不気味な感じもしてしまう。
さて雇用統計である。結果は悪かった。就業者の増加数も失業率も、ともに予想よりも悪かった。たしかに直後の反応でドル安に向けて動いたが、20ポイント程度のもの。迫力がない。米国株は上昇で反応したので、私もドル円を売らずに済んだのであるが、株の戻しはそれまでの欧州時間でたまったポジションのショートカバーの一面もある。
それでも短期的なショートカバーは強烈だったようで、米国株がオープンする頃には前日比でプラス転するまで戻しきった。ドル円も再び103円台を目指す動きになっていた。最近は雇用統計の前後でもマーケットがあまり動かないケースがゥづいている。
だから今回もドル円の20ポイント余りの動きで終わるのかと思われた。市場の関心がアルゼンチンなどの信用不安にスポットを当て出しているのだから仕方がない。とりあえず日中の高値が雇用統計の前後に付けた103.00だったので、103.05で買い戻しのストップ注文でも置いて、ショートポジションを作ってから寝ようと思っていた。
だが、ついに作らずじまい。ニューヨーク時間の午後からは米国株が再び落ち始めて、今度はドル円が102.50を割りこんできていた。ああ、なんか損した気分である。
週明けはややリスク許容度の回復で始まった。単なるショートカバーなのかどうか。今晩はイベントがない分だけ、見極めどころとなる。
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