■英ポンド、豪ドルもトレンド転換はしていない
この見方は、月足でみると一目瞭然、より一層、わかるだろう。GMMAチャートでは、短期線グループ(ブルー)が中期線グループ(ピンク)から離れすぎると、スピード修正しやすい傾向がある。
(出所:アイネット証券)
よって、2014年5月からほぼ一貫して陰線引けしてきた月足(7月から9連陰だった)から考えると、先月(4月)の陽線引けは、久しぶりのスピード調整が始まった、といった認識が妥当であろう。
つまるところ、売られすぎていたから、反動が来ただけの話だ。
言い換えれば、ユーロ/米ドルのベアトレンドが転換したという判断は、早計でかつリスクの高い見方である。
そのほかの外貨(英ポンド、豪ドルなど)の状況はユーロよりだいぶマシだが、米ドル高トレンドの終焉を認定できない限り、ユーロと同じく、ベアトレンドが転換されたといった認識は性急であろう。
■米ドル高に対するスピード調整は長くなる可能性も
一方、前述の「1-2-3」の法則が成立したことは、米ドル高に対するスピード調整が、より長いスパンを要する可能性を示唆している。
ユーロ/米ドルは、2014年5月以来、初めてGMMAチャートの長期線グループ(ピンク)を上回っただけに、しばらく保ち合いを継続し、ベアトレンドへ復帰するまで時間がかかることが示唆される。
ユーロ/米ドルより一段と強いリバウンドを見せている英ポンド/米ドルや豪ドル/米ドルは、なおさらであろう。
■ユーロ/円は136円台、英ポンド/円は187円台の打診も
そして、一昨日(4月29日)からユーロ/円のパフォーマンスが目立ってきた。
ユーロ/円は2014年高値から一貫して下落し、ずっと長期線グループに押さえ込まれていたが、日足における「下落ウェッジ」の打破(上放れ)と共に、長期線を大きく上回り、短期線グループも長期線グループに届くような勢いを示しているから、一段とリバウンドの余地が示唆される。
近々2月高値136円台後半の打診も視野に入るのでは。
(出所:アイネット証券)
同じ傾向は英ポンド/円にもみられ、しかもユーロ/円より地合いが強いため、英ポンド/円は近々2月高値185円の節目ブレイクが想定される。
ちなみに、GMMA週足で見る英ポンド/円は、2012年9月以来、完全に長期線グループの下に抜けたことがない上、2014年10月と同様、4月も長期線のサポートを確認していたから、ユーロ/円よりリバウンドの余地が大きいと思う。場合によっては187円台の再打診も視野に入る。
■米ドル/円はトライアングルを上放れする公算大!
ドルインデックスはしばらく調整局面にあり、その一方クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)がリバウンドの余地を拡大するのであれば、言うまでもないが、米ドル/円の上放れの確率が高いことが示唆される。
たびたび指摘してきたように、米ドル高のスピード調整局面においては、クロス円経由の円買い圧力がやわらぐため、米ドル/円は底打ちしやすく、また、上放れしやすいタイミングにある。
前回コラムの指摘どおり、米ドル/円は118円台の押しを確認済だから、これから3月高値から構築されたトライアングルの上放れを果たす公算が大きいとみる。
【参考記事】
●118円台への深押し歓迎?エリオット波動で読み解く米ドル/円、122円台へのシナリオ(2015年4月24日、陳満咲杜)
(出所:アイネット証券)
ところで、FOMC(米連邦公開市場委員会)と日銀会合は無風通過となったが、その中身は大きく違ってくると思う。
基本的には米経済指標の悪化があっても米利上げは規定路線である一方、日銀は早晩追加緩和に追われるのでは…と思う。今回はテクニカルの視点を優先したので、このあたりの話は、また次回に。市況はいかに。
(14:00執筆)
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