■優等生だけじゃダメ! 不良もいてはじめて当たる?
たくさん米雇用統計の参考指標がある中で、何を材料として選ぶかというのは大事なポイントなんじゃないんですか?
「ええ。『にほんばっしーモデル』もエッセンス自体は、突飛なことはしていないんですが、何を材料(『気温』の部分)として選ぶのか、という点でオリジナル感を出しています。
その材料選びが、僕のモデル(『にほんばっしーモデル』)については、他のものよりも優れているかもしれません。何を材料に選ぶのか、これが予想にあたって一番センスが問われるところです」
Aさんが、米雇用統計の参考指標として挙げたのは、以下の指標。指標を選ぶにあたっては、各参考指標と米雇用統計との相関係数(類似性の度合い)を算出したりして、どの指標を材料に組込むのかを検討するそう。
で、5月に発表された4月の米雇用統計、NFPの「にほんばっしーモデル」の予想にあたって、実際にAさんが使用したのは、14個の指標でした。
14個の指標はAさんが作成した上の資料に掲載されていますが、一部省略形になっている指標の名称を正式なものにした上で、全部書き出してみると、以下のようになります。
【Aさんが使用した14個の指標】
・ 新規失業保険申請件数
・ ニューヨーク連銀製造業景気指数の「雇用」
・ フィラデルフィア連銀製造業景況指数の「雇用」
・ ミシガン大学消費者信頼感指数
・ カンザスシティ連銀製造業景況指数の「雇用」
・ ダラス連銀製造業活動指数の「雇用」
・ リッチモンド連銀製造業景況指数の「雇用」
・ 消費者信頼感指数の「雇用不十分」
・ 消費者信頼感指数の「雇用困難」
・ 米ドル/円変化率(1カ月前)
・ ISM製造業景況指数の「雇用」
・ S&P500指数変化率(1カ月前)
・ ADP雇用統計
・ チャレンジャー人員削減予定数
これらの材料にする指標は、毎回変えたりするんでしょうか?
「基本は変えませんが、変えてみるとどうなるのか、数値的に確認はしています。ですが、今のところ、これ以上良い組合せはありません。『にほんばっしーモデル』算出に使った14個の指標よりも、資料で挙げている参考指標の中には、米雇用統計との相関係数が高いものもありますが、優等生ばかり集めても結果とフィットしないんです」
普通に考えると相関係数が高いものを集めた方が、モデル自体の的中率も上がりそうな気がしますが?
「たしかに、優等生だけ集めるとモデルのシンクロ率は、5~10%程度上がります。ですが、結果は全然フィットしないんです。当たるときは、ものすごく当たるんですけどね。
一概に優等生だけ集めるんじゃなく、不良もいてはじめて学園ドラマが成り立つという感じでしょうか(笑)。単純に成績の良いものだけを集めてもダメなんです」
奥深い…。「にほんばっしーモデル」ができるまでの第一のポイントは、材料選び! ということですね。
■特に重要な指標はどれ? 新規失業保険申請件数は…?
「にほんばっしーモデル」を算出するためには、不良(相関係数が低い参考指標)も必要ってことですが、14個の指標の中でも特に重要視している指標はありますか?
「特に重要視しているのは、ADP雇用統計とISM製造業景況指数の雇用指数。あとは、消費者信頼感指数の雇用不十分と雇用困難指数。これは、ハローワークなどで『どんな感じ?』と聞いたアンケートベースの指標です」
新規失業保険申請件数なども、一般的に重要だと言われていると思うのですが?
「新規失業保険申請件数は、クビになった人数を見る指標なので、これも重要は重要です。ですが、米雇用統計のNFPの場合は、雇い入れる人数とクビになった人数の両方が関係してきます。
新規失業保険申請件数は、その半分の面しか表していませんので、NFPを予想するという意味では、そこまで大きな効力を持たないのです」
NFPの数値を予想するにあたって、重要視している指標について話すAさん。一般的に、新規失業保険申請件数は重要なんて話も聞きますが…?
「もちろん、リーマンショックの時のように、人をガンガンクビにしている時はものすごく大事な指標ですが、今現在、解雇については落ち着いています。なので、少し重要度が落ちてきています。これだけをチャートで羅列すると、そこまで良い感じにはならないんです。
似たような指標で、失業保険継続受給者数も重要ですが、これは、フローを表す新規失業保険申請件数に対して、ストックを表す指標。両方をモデルの中に組込んでしまうと、内容的に重複する部分がありますので、僕のモデルでは、新規失業保険申請件数のみを採用しています。
いろんなコンビネーションを見て、最近のフィット感があるかどうかを確認する。そこに重きを置いて材料を選定しているんです。あまり相関係数の高さにとらわれ過ぎないようにしています」
「さらに、僕と同じようなやり方で…
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