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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

米ドルの忍耐強い戻り売り継続! トランプが推進する「大
きく美しい」トリプルB法案をイーロン・マスクが痛烈批
判! 市場心理が悪化する中での米金利上昇は米ドル売りに

2025年06月05日(木)14:26公開 (2025年06月05日(木)14:26更新)
西原宏一

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トランプ大統領が推進するトリプルB法案は「巨大で美しいのか?」 信用格付けにおいてのトリプルBにいい印象はない

 みなさん、こんにちは。

 トランプ大統領が推進している、通称大きく美しい法案(One Big Beautiful Bill Act)ですが、マーケットから批判が高まっています。

 例えば、マーケット参加者の多くはこの法案を「トリプルB」と呼んでいます。大きく美しい法案(One Big Beautiful Bill Act)ですので、頭文字にBが3つあり、確かにトリプルBと呼応するのは間違っていません。

 ただ、通常トリプルBで連想するのは、信用格付けにおいてのトリプルBであり、それは債務不履行(デフォルト)リスクがあることを意味します。

 これは、投資適格債の最低ランク(次がジャンク債)となり、トリプルBという呼称はいい印象を与えるとはいいがたいものです。

 一方、FT(フィナンシャルタイムズ)の報道によれば『トランプ減税の恒久化を含むこの「トリプルB」法案は、成立すれば米国の債務を10年間で3兆ドル(約430兆円)以上増やすとみられる。多くの投資家にとっては財政の危険な転換点になる』と警告しています。

 さらに米議会予算局(CBO)は、国内総生産(GDP)比で見た債務残高が足元の98%から、今後10年間で過去最高の125%に上がると予測しており、トリプルB法案は債務上限を5兆ドル引き上げ、10年間で赤字を2.5兆ドル増加させるとも指摘しています。

 この法案は5月に米下院を僅差で通過しましたが、成立には上院での承認が必要です。

 トランプ大統領は7月4日(金)を可決の期限に定めています。

先週のコラムで、米長期金利とこの法案の行方に注目しているとご紹介していますが、思わぬところから、この法案を強烈に批判する人物が登場しています。それはイーロン・マスクです。

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米ドル安の流れは変わらず! トランプ関税差し止め命令に株高、米ドル高で反応したが、関税収入が想定できなければ、市場注目の米債務問題がくすぶり、米ドル売り要因に(5月29日、西原宏一)

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イーロン・マスクが「巨大で、理不尽で、利権まみれの議会歳出法案」と痛烈批判。忍耐強く米ドルの戻り売り継続

 イーロン・マスクは先週(5月26日~)、トランプ政権を離れています。

 その数日後、突然イーロンはこの法案を「おぞましく、忌まわしいもの(a disgusting abomination)」、「巨大で、理不尽で、利権まみれの議会歳出法案(massive, outrageous, pork-filled Congressional spending bill)」と痛烈に批判しました。

 さらに、「この法案に賛成票を投じた人たちは恥を知れ(Shame on those who voted for it)」とまで述べています。

 彼は、連邦政府の節約を成文化(※)しようとせず、支出を増やし続けることに憤慨しており、議会が米国を破産させていると書いています。

(※編集部注:成文化とは、すでに決められたことや新しいルールなどを、文章や条文として書き表すこと。つまり明文化すること)

 ホワイトハウスは、イーロンのコメントについて質問を受けても回答を避けましたが、マイク・ジョンソン下院議長は「イーロンが法案についてひどく間違っている」と反論しています。

 一方、連邦債務増加を懸念する共和党上院議員(ランド・ポールやマイク・リーなど)は、イーロンの懸念に同調しており、共和党内部で意見が対立しています。

 イーロンは、トランプ政権を公然と批判したくはないが、政権がやっていることすべてに責任を負いたくもないという「板挟みの状況」にあると明かしています。

彼の批判は、トリプルB法案の行方を混沌とさせ、マーケットの市場心理を悪化させ、米国債の下落と利回りの上昇につながる可能性を高めています。

 通常、米金利の利回りの上昇は米ドル買いですが、市場心理が悪化している中、経済指標でも弱い数字が出ているにもかかわらず、米長期金利が上昇している場合は米ドル売りとなります。

 結果、トランプ政権が米ドル安誘導などしなくても、米ドルはじわじわと値をさげています。

 過去のコラムでも触れましたが、本稿執筆時点で、仮に米ドルが急落するような局面があれば、それが米国のトリプル安(株安、債券安(利回りは上昇)、米ドル安)を引き起こす可能性があるため、米当局が米ドル安を誘引するようなコメントをするのは考え難い。

【※関連記事はこちら!】
2025年の米ドルは最終的にじり安へ。台湾ドルと韓国ウォンが急騰も円は急騰せず。日米財務相再会談での為替協議に注目だが、発表しないで緩やかに米ドル安誘導しそう(5月15日、西原宏一)

 よって、米ドルは急落しにくいものの、米ドル安トレンドは変わらず

米ドル/円でいえば142円と140円、ユーロ/米ドルの1.16ドル台、米ドル/スイスフランの0.8000スイスフランを、米ドル安方向に割り込むのは一定の時間がかかるでしょうから、トリプルB法案の行方を横目に、忍耐強く米ドルの戻り売りを継続します。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

ユーロ/米ドル 日足
ユーロ/米ドル 日足チャート

(出所:TradingView

米ドル/スイスフラン 日足
米ドル/スイスフラン 日足チャート

(出所:TradingView


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