6月10日に黒田総裁が円安けん制発言とも受け取られかねないコメントを発して、マーケットは総じて気迷いの様子が垣間見られた。特に為替相場がどちらに行こうとしているのかを見極めるのが、重要となったのが先週である。
黒田総裁の発言があるまでは、ドル円は6月5日に今年の最高値である125.58まで上昇していた。それが発言直後に急落して122.46まで。この二つのレートがどちらも意識される状況が続いている。
そして先週のFOMCが終わった後の木曜日にドル金利の先高観が払しょくされて、ドルは全面安となった。しかしドル円は122.46を下回ることができず。やはり当面の強力なサポートとしてワークしているのだろう。
そして下値ブレークに失敗したのだから、次の下攻めの局面でも引っかかることが予想される。だから金曜日の為替相場でも、ドル円の122円台の中盤は市場の関心を集めることとなった。
アジア時間では123円ちょうどを挟んで上下10ポイントほどの細かい動き。欧州時間になってギリシャ問題が深刻化してきた。報道ではギリシャの国内銀行からの預金流出が顕著になってきているという。それがリスクオフにつながった。欧州株の下落とともに米国株も下げ。それが安全資産である国債に流れるに及んで、ドル円は徐々に軟化した。
ニューヨーク時間ではさっそく122.60あたりまで下攻めしたが、やはりコツンと来た。しかしニューヨーク時間ではイベントがほとんどなかったため、為替相場はそこから動意薄となった。米国株は終盤で一段安して、週末超えのリスク回避が出てきた。ドル円もほとんど安値引けといってよい。
それでも中国が端午節で休場のなかアジア市場では、122円台後半でスタート。その後はユーロドルでのドル安も手伝いドル円は下落となるが、122.55付近まで。やはりサポートはワークしているようだ。テクニカル的には、ドル円の下値のメドである122.46が注目される。また今週はファンダメンタルズ的にはギリシャ問題がいちおうの山場を迎える。
ギリシャは今月末にはIMFへの大量償還が控えており、それをクリアしても7月8月と多くの資金繰りが必要となる。EU関係国がギリシャ救済を続けるのか、それともある程度は見離す方向で動くのか。
今晩は緊急会合も開催されて、週末までに何らかの結論を得たいとしているが、はたしてどう動くことになるのか。今の時点ではどうなるかは全くわからないので、値動き重視で構えるしかなさそうだ。
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