■アベノミクスは中身でなく、タイミングが良かっただけ!?
アベノミクスという単語は、最初、「近いうち解散」と呼ばれた2012年11月衆議院解散の時からマスコミに登場し始めた。
その時のNYダウは2009年安値を起点とした上昇相場の半ばに位置しており、まだ2007年高値を更新していなかった。周知のように、NYダウは2013年3月にて2007年高値を更新、2015年5月高値1万8351ドルの記録につながったわけだ。
(出所:CQG)
2012年11月の高値は1万3290ドルだったことに照らして考えると、その時点からみれば、上昇相場はむしろこれからだったことがわかる。
そして、2014年10月31日(金)のQQE2の際、同日のNYダウの安値は1万7200ドル前後だった。
(出所:CQG)
また上海株に至っては同日2400前後のレベルに留まり、2015年6月高値5178からみると、バブルはこれからという時期だったから、世界規模のリスクオンムードが加速されていく時期であったことは明らかだ。
(出所:CQG)
もちろん、アベノミクス構造が打ち出された時期と米ドル/円、日経平均のサイクルとが合致(つまり上昇局面に位置)したことも重要なポイントだ。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 月足)
(出所:株マップ.com)
こういった視点から大胆に言えば、仮に自民党政権ではなく、民主党政権のまま、また、何の政策も打たずにいたとしても、株高・円安は程度の差はあるものの、やはりトレンドとして定着していたと思う。
言い換えれば、日銀政策にしても、アベノミクスにしても、中身よりもタイミングが良かった側面が大きく、日本株と円が外部要因に翻弄される市場である以上、成功したように見える場合でも、為政者は慢心したり、傲慢になってはいけなかった。
しかし、そう悟っていないためか、世界規模のリスクオフが進んでいた2016年1月末、黒田総裁は安易にマイナス金利付きQQEに踏み切った。
市場に挑み、まるでバズーカ神話を維持するためのような追加緩和は、目標を達成するどころか、株安・円高の大惨事を招き、マーケットの「報復」に遭ったわけだ。
■米ドル/円は近々106円台へ? 黒田ラインは姿を変えて…
すでに逆噴射になっている相場を簡単には止められないだろう。こうなると、米ドル/円のターゲットを下方修正することはもちろん、その時期、すなわち桜が咲くころ、どうなっているか、ちょっと測れなくなったと思う。
何しろ、相場のスピードからみると、すでにパニック相場の連鎖が観察されているから、相場崩壊が次の相場崩壊を呼ぶといった展開なら、100円の大台打診も戯言ではないかと思う。
来週(2月15日~)、春節で休んでいるあの上海株がオープンすることを考えると、なおさらぞっとしてくる。ただし、今回はリスクオフの伝染も逆噴射の構図になるだろう。つまり、従来の上海株暴落→日本株暴落ではなく、日本株暴落→上海株暴落となっていくかと思う。
そして、一部評論家たちの口グセ、つまり、「すべて中国のせい」という言い方も、今度は上海にいる風見鶏たちが真似して言うだろう、「すべて日本のせい」だと。
もっとも、100円大台の打診はいつごろになるかはわからないが、現実的なターゲットとして、106円台の打診は近々(やはり桜が咲く前かと思う)実現されるかとみる。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 月足)
ただし、日銀の相場介入が警戒されるから、先週(2月1日~)から続いてきた暴落は再演されにくいかとも思う。したがって、短期スパンに限っては、日経平均も米ドル/円も売られすぎから、いったん戻りを図るだろうと推測される。
最後に、黒田ライン(115円)は消滅したという言い方に同意しないことを記しておこう。同ラインは健在だ。ただし、レジスタンスラインとして…市況はいかに。
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