先週の金曜日は、最後のリスクテークで始まった。アジア時間で日本株は大きく切り返し、それにともなってドル円も109.72まで上昇。これだけリスクテークが進むのは、ひとえに週末に控えたイベントのためである。ひとつにはG20だ。何か経済対策でも出てくると思っているのだろうか。
それとも円高はいけないという声明文でも出てくると考えているのだろうか。異常に期待だけが先行している。その結果が先週をずっと通じてのリスクテークであったのだろう。日経先物も1週間で1500円近くも上がってきたのだ。その間、何もファンダメンタルズは変わっていない。
もうひとつのイベントは石油生産の調整協議である。こちらも多くの産油国が調整に合意すると期待されているので、原油価格の上昇が見込まれている。原油価格の上昇はマーケット全体のリスク許容度を高める。
だから株価が高いほうを臨んでいるほうにとっては、生産量の凍結で合意できると思いたいものである。またそれに向かっての否定の意見も出てきていないことから、ますます近い将来の需給のタイト感が強まることにつながっている。
そうした期待と思惑で、大きくリスクテークが進んだ1週間であったが、海外市場ではそのまま進むことはなかった。まず欧州序盤では、ドル円やユーロ円が利食い売りに当面した。もちろん九州で地震が起こった直後なので、リスク回避をしているという側面もある。
しかし報道で流れているものだけからは、これまでの災害と同じようなレベルである。大きくポジションを切り崩すようなこともなさそうだ。もしあるとしたら高値警戒感によるスピード調整といったようなものであろう。
その調整に乗って私もドル円でも売ってみようかとも思ったが、やはり週超えのイベントのリスクが大きすぎる。わずかばかりの利益を取るために巨大なリスクを取ることはできない。出撃するのは月曜日の早朝でも遅くはないだろうと判断。あえて何もしないことを選択した。
ニューヨーク時間でもドル円の軟化は続いた。108.60あたりまで安値攻めをして、ほぼその安値圏で終えている。これは日曜日の石油会合に先立って、イラン、リビア、ノルウェーが不参加を表明したからである。
産油国の合意に向けての不透明感が漂ったからだ。またG20筋からの声明文のドラフトでも、やはり従前と同じようなないように限られており、もっぱら租税回避に関する問題の解決に時間が取られたようであった。
さて週明けの動き。石油協議が決裂に近い格好で終わって、原油価格は2ドルほども下げてスタート。それにともなってグローベックスでの米国株も安い。G20で目新しいことが何も出なかったことに加えて、アメリカからは円安誘導するなとクギを刺されている。
朝からムードが悪くなって、ドル円も107円台まで沈んだりしている。これから海外市場ではどのように消化していくのかが、最大の見どころだ。
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