昨日の欧州序盤ではドル円は104円台の後半を攻めている最中だった。前日の高値も104.80くらいだ。そのあたりをクリアに抜けてこられるのかどうかが注目点だった。マーケットの材料としてはイギリスの国民投票への安心感だ。英議員が銃撃されてからというもの、EU残留派が優勢となってきている。
何もなければ同情票ということで、このままEU離脱という可能性はなくなるだろう。それがここ数週間のメインテーマでもあっただけに、ドル円の反応としては鈍いものがある。110円台でも目指してもおかしくはないだけの話なのに。そういうわけで安易にドル円をショートに振るわけにはいかなかった。
結果的にはここがドル円のトップだった。しかしその時点ではわからない。夕方になって慶応大学で黒田総裁が講演をしたが、金融政策に関する話では従前のものと変わり映えがしない内容だった。それが失望を呼んだというわけでもないだろうが、アジア時間に必要以上にたまったドル円やユーロ円のロングポジションの整理もでたものだろうか。
もはや上値追いはなくなった。しかし104.50アラウンドを行ったり来たりするだけで、ニューヨーク序盤でも目立った変化は見られなかった。朝、起きてテレビをつけると、ドル円が103円台に入っていた。これはかなりビックリものだった。上方向しか考えていなかったからだ。
ユーロ円も下がっている。そんなにドル円やユーロ円が下がる要因でもあったのかと探してみるが、目立ったものはない。確かに米国株は大幅上昇で始まった後は、ひたすら利食い売りに押されっぱなしだった。ニューヨーク時間のコアタイムだけを見るとリスク回避が進んだのだとも言える。
そして今日の午前中にはドル円はさらに下攻め。103.60近辺まで攻めこんだ。ここまでくると今度は今年の最安値に接近だ。103.56だから、もう目と鼻の先だ。しかしここは強力なサポートとして働いたようだ。確かにテクニカル的にも買うならば、ここでしかないだろう。
それより下で買うのは、まったく根拠のないものとなる。その後はドル円が反転して、104円台を回復している。あれだけ下攻めしたのに、簡単に104円台まで戻すというのも不可思議な動きだ。
今晩はイエレン議長の発言が注目される。しかし先日もFOMC後の会見でしゃべったばかりなので、話の内容がドラスティックに変わるとは思えない。変わったことといえばBREXITのリスクが減退したことだ。これに対して警戒を緩めるような発言が含まれていれば、ドル金利の先高観が強まることになり、ドル高がもたらされるかもしれない。
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