金曜日はアメリカの雇用統計であった。しかし注目度がとても薄かった。イギリスのEU離脱のおかげでアメリカの年内利上げですら吹っ飛んでしまっている。いまさら12月利上げを占う場でもない。ドル金利が動くのを確認するとなると、金利上昇の方向だ。雇用統計が多少良くても、市場の見方は変わらないだろうことが予想されるからである。それだけ欧州の問題のほうが先行きが不透明であり、マーケットにとっては関心事だからである。
しかし目の前の動きが小動きでも、雇用統計は無視できない。すでにドル円は100円台まで下がってきており、EU離脱以降では最安値圏にまで到達してきているからだ。これで再び99円台にまで深く差し込んだら、そのまま走ってしまうかもしれず、それが今年後半の流れを決定してしまうかもしれないからだ。
欧州時間ではドル円は100円台のミドル。それが直前に100.20まで突っ込み出したのだ。あまり上サイドが期待できない以上、安値攻めをしないといけないと考える連中のフライイング売りであろう。さて結果が発表となると、ドルは急速に値を戻して反応。これは就業者数が28万人台の増加となって、予想を大きく上回ったからだ。また短期筋のポジションのアンワインドのせいもある。
ドル円は101円台まで速攻で戻ったが、肝心のドル金利は上昇するにしても小幅なもの。年内利上げの観測が復活するほどの値動きではない。それを横目で見ながら、だんだんとドルロングはきつくなってきたのだろう。ドル円はすぐに下げに転じた。上げるのも速かったが、下げるのも速かった。また瞬間的にドル円は99円台にも沈んだようである。
ドル金利の上昇が見られなかったことは、株価にとって好材料である。金融相場的に米国株はオープンしてからというもの堅調そのもので、しかも大幅高に向かった。資本市場の落ち着きが市場のリスク許容度を高め、ドル円やユーロ円は下げた分の半分ほどを取り戻しにかかった。
雇用統計のイベントをスルーしても、ドル円は100円台である。つまり先月下旬からのドル円の下げ過程での、安値水準に張り付いて終了した。だが参院選を受けて日本株が上昇し、東京時間の安倍首相の会見時には101円台ミドルにまでドル円も上昇した。
しかし基本は雇用統計後の流れの続きで、今週はドル円やユーロ円、そしてポンドの安値をどこまでなのかを試しにいく展開も予想される。そうなるとマーケットは再び緊張感を高めることになる。安倍首相の会見で言っていた大胆な経済対策というのも注目されるが、週の後半まで大きな経済イベントもないので、欧州問題がメインテーマにならざるをえない。
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