昨日はアジア時間でも円安が進んだ。特にアメリカの金融政策が変わったわけではない。イエレン議長は従来と同じようなことしか話していないわけだし、今週末に出る雇用統計は注目を浴びているというが、実際に金融政策のオペレーションとしては1回のデータだけで今後を左右することを決定したりはしない。
金利の先物市場では9月利上げはほとんど織り込んでいないので、それほどはしゃぐのは取るべき方針を誤ることにつながると思う。重要なのは黒田総裁のコメントのほうであろう。物価目標を取り下げない意向がわかったし、マイナス金利の方策も有効だと言った。
これはかなり深刻であって、9月の金利会合の際に行うと言っていた総括の中身が判明してきたのと同様である。今後も大きな手段の変更はないものと見られ、後は規模を変更することに拘るだろうという観測が強まった。少なくともターゲットや手段を緩めることにならないということが、金融緩和に対する安心感を醸したのだろう。
海外市場では金曜日に極端に進んだ株安と金利上昇の反動が出た。やはり9月利上げは厳しいだろうということで、米国債をはじめとするドル金利の相場は、早々にイエレン議長の発言前のレベルにまで値を戻してきた。
それを見て安心感から米国株は切り返した。こちらも元の水準にまで戻してきた。しかしドル円も戻せばいいものの値下がりしたとはいっても小幅にとどまった。形の上では日本の金融緩和の影響だけが残ったという感じだ。
私はといえば、昨日は様子見に徹した。102円台のドル円は買うのも売るのも嫌だったし、もうちょっと先週末の結果を見極めたいという思いが強かったからだ。そうして待った割には、為替レートはそれほども動いていない。ユーロドルも全くの小動きだった。
イエレン前のレベルに戻った米国株や米国債だが、今晩もその水準訂正に関心が集まる。とても9月利上げがありそうな反応をマーケットは示していないが、それにしてもドル相場だけが高過ぎる状態が続いている。ちょっとドルの高過ぎということに注意を払いながら、どこかでドルショートを仕掛けたいと考えている。
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