先週の欧州序盤でもドル円は買い上げられた。結果的には113円台の後半までだったが、これはトランプ大統領が税制改革を示唆してからのマックス戻しの地点である。
ドル円が114円台を目指す動きとなったのは、夜中に控えた日米会談への期待ベースのリスクテークもあった。しかしすぐに113円台の中盤での攻防となった。
夜中の3時くらいに日米首脳会談が終わって、共同の記者会見となった。結果として内容は実にまともだった。一部で期待されていたような危ない見解も示されなかったし、双方が相手の立場を尊重するものだった。そこにはアメリカ・ファーストに固執するトランプ氏の豪快さがなかった。
ドル円は瞬間的に112円台に突っ込んだが、週のトピックをすべてかっさらった割には値幅は小さいものにおさまった。ドル円もユーロドルも100ポイントも動かなかった。ニューヨーククローズではウィークエンドを控えたポジション調整もあって、ドル円はやや下げて週を終えた。
普通の首脳会談と同じように済んだことで、マーケットはひと安心。米国株も歴史的な最高値を更新して終えた。しかしまともに会合してしまったことが今後のリスクをはらんでいる。減税とか投資とか、実はできないのではないかという懐疑だ。
どの指導者もいい顔をしたのだから、お金と権限が許せばやりたい政策である。やりたくてもやれなかったことを認識させられる局面も訪れるのではないだろうか。変わった人であり続けないと、大型減税はできないのである。
週明けのマーケットはリスクテークで始まっている。恐ろしい要求は何もなかったということを材料にしているのである。ドル円も114円台に乗せたりなどしているが、その後の伸びに勢いが見られない。
今週は経済指標で大きなものがたくさん予定されているが、マーケットの関心はトランプ大統領の発言を受けた後の動向だろう。リスクテークはこのまま続けていてよいのかどうか。それを試しにいく週になりそうだ。
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