■週足に見るレジスタンスとサポートの役割転換
では、どちらにブレイクしていくのだろうか。結論から申し上げると、やはり上放れの公算が高いとみる。週足の状況が、ヒントを与えてくれていると思う。
ドルインデックスの週足は、2017年年初来の米ドルの反落、また2月初頭の安値打診をもって、重要なサポートゾーンを確認している。
(出所:Bloomberg)
同サポートゾーンは、2015年1月、4月、または同11月、12月の高値水準と合致していただけに、テクニカル上で言う「役割の転換」が確認された。このようなケースで、ここから下放れするのはハードルが高いとされる。
言ってみれば、2015年1月、4月の高値と、同11月、12月の高値をもって「ダブルトップ」の構造を形成していたが、「トランプ・ラリー」で同構造が否定されわけだから、2月2日(木)安値が再び元のレジスタンスゾーンの水準に留まったのは自然の成り行きだった。
なぜなら、これは2年間かけて形成されてきたレジスタンスゾーンであるからだ。レジスタンスゾーンは、いったんブレイクされると今度はサポートゾーンとして表れるケースが多いから、元レジスタンスの「役割」がサポートに転換されるわけだ。
注目していただきたいのは、レジスタンスゾーンを形成していたスパンが長ければ長いほど、ブレイクされたあとの「役割の転換」自体の確実性が高いとされること。その上、昨年(2016年)12月安値も同水準に留まっていたことも見逃せない。
したがって、ファンダメンタルズ上における根本的な変化がない限り、米ドル高の傾向はしばらく続くだろう。となると、米ドルは足元で再度頭が重くなっているが、中段保ち合いという位置づけは妥当で、強気基調を保てると推測される。
■レジスタンスゾーンのブレイクはエントリーの好機!
その上、目先のレジスタンスは、次なるタイミングを教えてくれている。
米ドルのロング筋にとって、2月15日(水)、22日(水)高値(≒101.72~101.76)が目先の「ダブルトップ」を形成しているように見えるが、今度これがブレイクされれば、それはエントリーの好機となるだろう。
(出所:Bloomberg)
米ドル高の加速は、こういったレジスタンスゾーンのブレイクによって確認されるわけだから、理論上、ロング筋の出動のみではなく、ショート筋の踏み上げをも意味し、モメンタムの加速が想定されるわけだ。
■ユーロ/米ドルの「逆三尊型」形成の確率は低い
ドルインデックスと正反対の構造を示すユーロ/米ドルは、一昨日(2月22日)にもっとも重要なサポートゾーンにトライしたのがわかる。
(出所:Bloomberg)
ここから同サポートゾーンを割り込むか、それともサポートされ、反騰していくかが注目されるが、前述の理由から、下放れの公算が高いのではと推測される。言い換えれば、日足における「逆三尊型(※)」の形成は、現時点では確率が低いと思われる。
(※編集部注:「逆三尊型」はチャートのパターンの1つで、「三尊型」と反対に、底を示す典型的な形とされている)
■ユーロ/米ドルでもレジスタンスとサポートの役割転換が
週足で観察しても、2015年3月、4月安値、そして、同11月安値で形成された「ダブル・ボトム」をいったん割り込んだ以上、ユーロの下落がなお続く公算は高いと思う。
(出所:Bloomberg)
実際、昨年(2016年)12月の反騰にしても、2017年1月末までの反騰にしても、かつての重要サポートゾーンに留まり、それによって元のサポートゾーンがレジスタンスゾーンとして「役割転換」を果たしたから、ユーロの上放れを想定するにはハードルが高いと言わざるを得ない。
米ドル/円は最近やや蚊帳の外である。ドルインデックスとの関連性が薄れ、また、トレンドレスの傾向が強いが、112円台の打診をもって調整一服の可能性が高いとみる。このあたりの詳説は、また次回。
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