(「JPモルガン棚瀬氏に聞く新興国通貨(1) 「景気が良い=通貨上昇」とは限らない」からつづく)
■メキシコペソ、トルコリラは今年反転するのか?
現在、売られている通貨として真っ先に思い浮かぶのは、メキシコペソとトルコリラ。棚瀬さんは次のように語る。
「先に述べたように今年は全般的に円高が進むと予測しています。
ただ、為替でやられたとしても、金利が高ければ、ある程度はカバーできるので、メキシコペソやトルコリラへの投資は一考に値すると思います」

(出所:Bloomberg)
「この2つの通貨は長期的に見ても売られすぎ。
『戻しはあるのか? それは今年、起こるのか? 何がきっかけになるのか?』ということは、今年の新興国通貨を見る上でのひとつの焦点になるのではないでしょうか」

メキシコペソとトルコリラは長期的に見ても売られすぎと話す棚瀬さん。何かきっかけがあれば、反発して不思議はないようだ
では、反発のきっかけとなりそうな出来事は何か? 棚瀬さんはメキシコに関しては「米国の議会における税制改革に関する議論の行方」だという。
【参考記事】
●2017年は新興国投資のチャンス到来!? マイナー通貨を取引できる会社はここ!
■トランプ大統領の政策はメキシコにポジティブ!?
メキシコはトランプノミクスの最大の被害者と言われているが、実はトランプ大統領が掲げる政策は新興国全般にとってはネガティブながら、メキシコにとっては決して悪くない可能性があると棚瀬さんは指摘する。

メキシコの特徴は米国への依存度の高さと、コモディティ(商品)への依存度の低さ。
米国への依存度が高いということは、米国の景気がよくなることはメキシコにはポジティブということになる。また、他の新興国の景気低迷でコモディティ価格が下がっても、メキシコはコモディティへの依存度が低いので影響は限定的だ。
「とはいえ、トランプ大統領が公約に掲げる国境税がかけられるとなると話は違ってきます。
逆に国境税の実現は難しいことが明らかになれば、トランプリスクで売られすぎていたメキシコペソが反発するきっかけになりえるでしょう」と棚瀬さん。
【参考記事】
●トランプリスク後退を察知!? リトマス試験紙「メキシコペソ」は事前に上昇していた!

(出所:Bloomberg)
【参考一覧表】
●メキシコペソ(MXN)が取引できるFX会社
■トルコリラはまだ下落余地あり!?
トルコに関しては、2015年のブラジルに近い状況で、通貨安とインフレのネガティブスパイラルに完全にはまりこんでいる。
「ネガティブスパイラルを断ち切るのが重要で、トルコリラが反発するにはトルコの中央銀行の金融政策が焦点。
現政権の政治的圧力で金融引き締めが難しいとマーケットには思われているので、通常より大きな利上げが必要になるでしょう」

(出所:トルコ中央銀行のデータを基にザイFX!編集部が作成)
中央銀行と政治の関係によっては、ネガティブスパイラルが長続きする可能性もある。
さまざまな要因が影響するので、トルコリラの下落余地がどのくらいあるのかは極めて不透明ながら、棚瀬さんは次のように語る。
「トルコリラは最安値圏にあるので値ごろ感があるかもしれませんが、実質実効レートの10年移動平均との乖離率は現状マイナス15%ぐらい。
ブラジルレアルはこれがマイナス25%ぐらいまで売られてから反発したことを考えると、トルコリラが一時的にあと10%程度下落する可能性は否定できないと考えています」
【参考記事】
●わずか1. 2円の証拠金で取引できる例も…。トルコリラを取引するならどの口座がいい?
【参考コンテンツ】
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(出所:J.P.モルガン)
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