■トルコでクーデター勃発だが、鎮圧方向の情報が優勢?
トルコでクーデターが勃発した。
日本時間の2016年7月16日(土)未明、トルコ軍(の一部)は首都アンカラや最大都市イスタンブールに戦車部隊を展開、戦闘機も飛行。トルコ軍(の一部)がイスタンブール空港やボスポラス大橋を閉鎖した、国営テレビ局を占拠したといった情報が流れており、トルコ国会が爆破されているといった情報もあるようだ。
トルコ軍のアカル参謀総長は人質になっており、トルコ軍(の一部)は「国の全権を掌握した」との声明を発表した。
一方、ユルドゥルム首相はこれは軍の一部が起こしたことであり、「クーデター」と呼ぶのは正確ではないと述べている。
また、エルドアン大統領は居場所不明ながら夏季休暇中で無事。大統領はテレビ番組に映像つきの携帯電話を通して登場し、国民に外に出てクーデターを阻止しようと呼びかけた。
その後、エルドアン大統領はイスタンブール空港に到着し、支援する民衆に囲まれて登場したとの報道が流れている。
各種情報がムチャクチャ錯綜している状況だが、時間が経つにつれ、エルドアン大統領支持派がクーデターを起こしたトルコ軍(の一部)の鎮圧に成功し始めているとの情報が出てきている。
このクーデターが成功するのか、鎮圧されるのか、本記事公開時点では断定できない状況だが、徐々に鎮圧方向に動いている情報が優勢となっている印象を受ける。
【7月17日(日)日本時間 午前10時57分追記】
その後、情勢は動き、トルコのクーデターは結局、失敗に終わった。トルコ政府当局はクーデターに関連したとされる軍人2839人を拘束したと発表している。クーデターの犠牲者数に関する報道はまちまちだが、百数十人~二百数十人との情報が流れている。
トルコのクーデターは結局、失敗。トルコ政府当局はクーデターに関連したとされる多数の関係者を拘束した。写真はトルコ軍の戦車を取り囲む人々 (C)Defne Karadeniz/Getty Images
ユルドゥルム首相はエルドアン大統領の政敵であり、米国在住のイスラム教指導者・ギュレン師がクーデターの首謀者だと非難。しかし、ギュレン師サイドはクーデターへの関与を否定し、クーデターを非難している。
これでトルコ国内が完全に平穏無事というわけにはいかないだろうが、クーデター問題はいったん収まった。これを受けて、7月18日(月)朝の為替相場がどのような反応を示すのか、注目される。
■トルコリラ急落、円全面高! NYダウは悠然とした構え!?
このクーデター騒ぎを受け、トルコリラは週末のNY市場終盤に急落。トルコリラ/円は36円台半ばから34円台半ばまで約1時間で2円あまりも急落した。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:トルコリラ/円 1時間足)
為替市場は全般的にリスク回避の動きとなり、円買いと米ドル買いが優勢。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨 vs 円 10分足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル vs 世界の通貨 10分足)
ただ、円買いと米ドル買いでは、円買いの方が強い状況。このところ、日本のヘリコプターマネー実施の憶測などで、米ドル/円は上昇基調にあったが、7月15日(金)のお昼頃に106.30円台をつけていた米ドル/円は、このクーデター騒ぎを受け、104.60円台まで下落し、今週の取引を終えている。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 30分足)
その一方、米国株式市場はトルコクーデターの報にもあまり動揺せず、NYダウは0.05%とわずかではあるが上昇、終値での史上最高値を更新した。
■政権交代が近いかもしれないと2015年10月に指摘
ザイFX!では2015年10月に日本在住のトルコ人アナリスト、エミン・ユルマズ氏に取材した記事を公開している。
【参考記事】
●天才トルコ人・エミン氏に聞くトルコリラ(1) 11月総選挙がトルコリラの命運を左右する!
●天才トルコ人・エミン氏に聞くトルコリラ(2) トルコリラの行方は「田中角栄」が握る!?
この記事の中でエミン氏は「政局の不安が起きる前後にトルコリラは急落」していると指摘。大規模な反政府デモが始まった2013年からトルコリラの大幅な下落が始まっており、「過去の例から言えば、政権交代が近いかもしれません」と述べていた。
また、エルドアン大統領については「もともとはイスタンブールのスラム街で育ち、苦学しながら大学を卒業し、イスタンブール市長に上り詰めました。日本で言えば田中角栄さんですね」と解説。建設業界や不動産業などが主な支持基盤であることからも、田中角栄のようなイメージだとしていた。
ただ、近年はエルドアン大統領が強権的な姿勢を強めてきていることを指摘しており、前述のように大規模な反政府デモも起きていたという。このようなことが、今回のクーデター騒ぎにつながったのだろうか?
■トルコリラが急落しても問題なくスワップ金利で儲かる手法
クーデター鎮圧の可能性もあることを前述したが、その場合、急落したトルコリラは絶好の買い場となる可能性もあるのかもしれない。
ただ、いずれにしても、トルコリラのトレードはリスクが高いことは間違いなく、ザイFX!としてはトルコリラのトレードを推奨するものでないし、トレードするにしても慎重に行うことをお奨めする。
それでもトルコリラをトレードしたいという人は、以下のザイFX!のコンテンツをご参考に。トルコリラが取引できる国内FX会社は非常に多いとは言えないが、近年増えてきており、以下のコンテンツでは、そのスペックを比較できる。
【参考コンテンツ】
●FX会社おすすめ比較:トルコリラが取引できるFX会社
また、以下の記事では、異なるFX口座で売りと買いを両建てし、トルコリラが急落しようが為替差損は被らず、その一方、トルコリラの高いスワップ金利(の一部)を着実に獲得する「異業者両建て」という手法について紹介している。こちらもご参考に。
【参考記事】
●マイナス金利時代に年利7.6%!? 為替リスクなしでスワップ金利だけもらう異業者両建て
■荒れそうな月曜。午前3~4時から取引できるFX会社は?
なお、週明け、7月18日(月)は海の日で日本は祝日。日本の株式市場は開かないが、FXはトレードできる。とはいえ、祝日は平日より取引量が少ないため、何もイベントがなければ為替相場はあまり動かないことが多いが、逆に何かあると、大きく動きやすくなる。
トルコクーデターのニュースを受け、7月18日(月)は荒れた相場になる可能性があり、注意が必要だ。
そして、月曜日は午前7時から取引可能なFX会社が多いが、中にはもっと早く取引が開始されるFX会社もある。特に午前3~4時から取引可能なサクソバンク証券は貴重な存在。今回のようなときに備えて、口座を開設しておくのもいいだろう。
【参考記事】
●月曜日の窓埋めトレードを狙ってひと儲け! 午前3時からトレードすればニ度オイシイ…!?
(ザイFX!編集長・井口稔)
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)