今年に入ってから株価はほとんど動かない日々が続いてきた。正確にいうとトランプ氏が大統領に当選した後の1か月の株価ラリーが一服した昨年の12月の中旬からである。ここ最近の3か月は動かなかったということだ。当然、市場の期待変動率、すなわちボラティリティも低下の一途だった。
それが昨日は久しぶりに大きく動いた。米国株が大きく下がったのだ。今年最大の下げ幅だったようだ。そもそも懸念されていたトランプ大統領の政策への実現性である。今週の木曜日にはオバマケアの修正案を採決にかけられるとしていたのだが、議会通過はもちろんのこと、政権内部でもコンセンサスは得られそうもないらしい。
法案提出にですら至らないのならば、そのほかの政策、たとえばメキシコとの壁とか大型減税とか、軍事費の増強など、お金のかかる法案は何も実現できないのではないかという観測が高まってきたのだ。
昨日はアジア時間では112円台でステイしていたドル円も、株価の動きに見られるリスク回避の流れに逆らうことはできなかった。欧州時間まで歯112円台の中盤でサポートされていたかに見えたドル円だったが、頭が重いままでニューヨーク時間がスタート。
結構、あっさりと111円台に突入した。こうなると今年の最安値である111.60付近が気になるポイントである。そこは何度も止められているので、テクニカル的にも重要なサポートとなっているからだ。
私も112円台の前半からショート参戦はしていたものの、111.80ビローではショートキープができない。やはりテクニカルポイントのサポートを重視しての行動だ。ここのレベルショートを持っているならば、完全に111.50とかを下回ってからでもいいだろうという考え。そして昨日の夜中の安値は111.55までだった。
それにしてもリスク回避の大きさがまだまだ足りないとも考えられる。トランプラリーの分のすべてを吐き出してもよさそうなものだが、まだまだ出し渋っている感じである。ドル円も102円台とかまで行ってもファンダメンタルズ的には不自然ではないのに、いまだに111円台にいるということは依然として期待の方が高いのだということを表している。
今晩はリスクとの戦いだ。昨日の米国株の調整は、ちょっと目先のリスクテークを困難にしている。喜んで高いものでも買っていこうという雰囲気ではなくなったのかもしれない。それを見極めるために重要なのが、今日の海外市場である。持ち直せばトランプラリーがまだ続いていることを意味するだろうし、もう一段安するならば当面はベアマーケット入りということになるだろう。
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