昨日のアジア時間ではドル円があまり下がらなかった。日曜日に北朝鮮がミサイルを発射したが、それに対する積極的なリスク回避の流れが出なかったわけだ。その安心感からドル円はビッドの強い展開となった。ドル円は111.60あたりまで上昇して、前日の高値をトライすることとなった。
当面は北朝鮮が何をやってもマーケットへの悪影響はあまり出てきそうにもないように見える。北朝鮮の地政学的リスクに騒いでいるのは、周りを見回しても日本だけだという状況になりつつあるからだ。韓国はもっとも危ない当事国ではあるが、いつものことだとでも言わんばかりに無視を決め込んでいる。
新しい大統領の意向としても北朝鮮と融和したいほうなので、ことを荒げたくないようだ。中国も経済制裁に積極的にかかわりたくない立場でもあるので、あまり北朝鮮を刺激しないように努めている。
空母艦隊まで送り込んだアメリカは、官僚的な答弁に終始しており「定義的にはあれは弾道ミサイルではない」という感じで事実を認めない姿勢を貫いている。要は関係国すべてが「触らぬ神に祟りなし」という無責任な姿勢を決め込んでしまっている。
地政学的リスクは相場を動かすことにはならないとすると、後はアメリカの政治リスクだ。しかしトランプ大統領が中東を訪問しているので、アメリカ国内からの危ない話しは出てこないということだ。
そして消極的な意味でのリスクテークが続いた。米国株は再び歴史的な最高値に急接近してスタートした。私もドル円を111円台の前半で買ってみたのだが、ぜんぜん上がらないので夜寝る前に損切りした。
ドル円の隣ではユーロドルが上がっている。メルケル首相が「ユーロは安すぎる」と評価したせいだが、これは額面通りに受け取れない。週末のサミットに向けたリップサービスでもある。事実、ユーロ安でドイツ企業が大きな利益を捻出しているからである。通貨安競争はしていないというモーションをしめさないといけない政治的なコメントであろう。
今朝になってワシントンポスト紙が「トランプ政権がロシア関与を否定するように情報当局に求めた」という悪材料が出た。アジア時間では少しだけリスクオフにもなりはしたが、値動きに乏しいまま。海外市場に向けてこれの消化具合を確かめに行くことになろう。しかしトランプ大統領の本人が不在なので、注目すべきコメントは期待できないかもしれない。
日本時間 17時00分
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)