昨日はドル円が110円台に乗せてのスタート。若干の利食い売りも出て押し込まれる局面があったものの、ビッドもしっかりと入っており、ドル買い意欲は強かった。欧州時間に入っても110円ちょうどをはさんでウロウロしていたが、ユーロドルのほうが着実に値を切り下げてきており、ドルの腰の強さを見せつけた。
ドル円も動き出したのはニューヨーク序盤になって、アメリカの経済指標が発表されてからである。ドル円は昼間の高値も超えてきた。共和党のライアン下院議長が再来週までに税制改革のドラフトを作成すると発言したのも一因である。
財源の手当てが見当たらない以上は、債務を増額させるしかない。それが米国債売りを呼び込んで、ドル金利が短期も長期も上昇したのだ。ドル金利の上昇は、ドル保有の魅力を増す。それがドル高を支援していて、為替相場ではドルの全面高となった。
一方で昨日は東京市場では日本株が小動きだった。日中の日経先物の値幅が100円ほどしかなかったのだ。週明けから500円以上も駆け上がってきた割には、異常に値動きが小さい。一段高しないのである。
これは株価が高過ぎるので、本当に買いたい人が待っていても買えず、売りたい人も売りの手が引っ込んでしまうからである。しかるに出来高も少なくなってしまっている。同じ傾向は米国株でも見られ、連日の歴史的な最高値更新の中でも、日中の値幅は今年最少のものとなった。動意薄となっているのである。
米国株などリスク性の高いものが一段高しない限りは、ドル円やユーロ円だけが単独で上がっていくのは無理であろう。だからここからのドル円での高値追いは要注意となる。昨日はトランプ政権から税制改革について再来週にも草案を出すと言ってきているが、法人税の減税など果たしてどこまで実現可能なのかが試される展開となる。
事前から議会との審議も困難を極めそうだとの観測がたっているので、実際に困惑してもマーケットは驚かないのかもしれない。むしろ税率などで妥協を図った形になっても、前進が見られたら、それはそれで好感して株価の一段高につながるのかもしれない。そうなるとドル円も115円トライでも不思議ではなくなるかもしれない。
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