■実は難しくない、シンプルな構成のMACD
いよいよ本題の大循環MACDですが、その前に一般的なMACDについても簡単に触れておきましょう。
MACDとは、日本語では一般的に「移動平均線収束拡散法」と呼ばれ、ザックリ言うと、期間の異なる2本の移動平均線がくっついたり離れたりする様子をわかりやすく描き出してくれるテクニカル指標です。MACDで用いられる移動平均線には、EMAが用いられます。
通常のMACDは、
1.MACD(12日EMA - 26日EMA)
2.シグナル(MACDの9日EMA)
3.ヒストグラム(MACD - シグナル)
の3つの要素で構成されます。日足ベースでの計算方法を紹介しましたが、週足や月足、時間足など、すべてのチャートでパラメーターはいっしょです。チャート上では、以下のような感じで表示されます。

(出所:FXトレード・フィナンシャル)
売買タイミングとされているものは複数ありますが、その中で代表的なものは、MACDとシグナルのクロスしたところです。具体的には、プラス圏で上昇していたMACDが低下し始め、シグナルを下回ったら売る、逆にマイナス圏で低下していたMACDが上昇し始め、シグナルを上回ったら買うという使い方です。
下のチャートは、2本のEMAがクロスしたところと、MACDとシグナルがクロスしたところを、それぞれ丸で囲ったものです。

(出所:FXトレード・フィナンシャル)
MACDとシグナルのクロスの方が、2本のEMAのクロスよりも先に発生しています。上のチャートは日足なので、どこも期間にすると1週間ぐらいの差があります。これって、大きいですよね。売買サインの出るタイミングが遅めな移動平均線の弱点を補って、トレンドの変化をより早く判断するのに利用されるのがMACDなのです。
また、MACDが上昇している時は相場が上向き、下降している時は相場が下向きの傾向にあるともいえます。
さらに、MACDがゼロラインをマイナスからプラスに上抜くと上昇トレンドが加速、プラスからマイナスに下抜けると下降トレンドが加速している状態なので、これらを判断して、ポジションの量を増減するというやり方もできます。それぞれのラインの特徴がわかれば、それほど難しくはないですね。
■3種類のMACDで相場の流れを先読み!
大循環MACDでは短期(5)、中期(20)、長期(40)の3本のEMAを基に、3種類のMACDを算出して分析を行います。

FXトレード・フィナンシャルのメタトレーダー4(MT4)取引画面に、「大循環MACD」の定型チャートを表示させたものが以下になります。
(出所:FXトレード・フィナンシャル)
チャートに重なって表示されているのが移動平均線大循環分析で、下部に別枠で表示されているのが大循環MACDです。MACD1が青、MACD2が赤、MACD3がオレンジと緑で色分けされた帯の形状で表されています。そしてピンクのラインが、MACD3のシグナル(9日EMA)になります。
通常のMACDでは、MACDとシグナルがクロスしたところが代表的な売買タイミングになりますが、大循環MACDの場合は少し異なります。
移動平均線大循環分析の教科書どおりにダマシがなく、相場が推移していった場合、安定上昇期である「ステージ1」の1つ前は「ステージ6」になりますが、大循環MACDでは相場がこのステージ6の時に、
1.MACD3がMACD3のシグナルとゴールデンクロスを済ませている
2.3本のMACDが右肩上がり
上の2つの条件が揃っていると、買いを仕掛けるとされています。
チャートの動きに注目して詳しく見てみましょう。
(出所:FXトレード・フィナンシャル)
上のチャートではステージ6へ移行する前に、MACD3とMACD3シグナルのゴールデンクロスが済んでいます。また、その時点で3種類のMACDは右肩上がりになっています。ちなみにFXトレード・フィナンシャルの「大循環MACD」チャートには、MACD3とシグナルがクロスした部分に、ゴールデンクロスなら青丸、デッドクロスなら赤丸が表示されます。
つまり、この場合は、相場がステージ6へ移行したタイミングで、買いを仕掛けても良いということになります。移動平均線大循環分析だと、ステージ1に移行した時が買うタイミングだったので、エントリーのポイントがかなり早まってきますね。
反対に、相場が安定下降期である「ステージ4」の1つ前の…
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