昨日はアジア時間ではドル円は108.75から108.85までのせまい範囲で、ほとんど動きがなかった。高値は利付きの状態のままだったので、海外勢に上値攻めがどこまでできるのかを試してもらう展開となった。
ここで足踏みしているのは、今年の半値戻しが109円台の前半に位置しているからである。強力なレジスタンスであることが容易に想像され、108円台の後半から買い進んでいくには得策ではないと見ているからであろう。
ニューヨークオープン前の米企業決算でも良いものが並んだこともあり、グローベックスでは米国株が大きく上昇した。米国債の長期金利がいよいよ3%の大台に乗せてきたということもあって、ちょっとドル買い意慾に火をつけた。ドル円は109円台に乗せてきたのだ。
しかし長期債の利回りが3%台に乗せてきたといっても、値幅は実に小さいもの。あくまでも象徴的な意味しか持たない。さらに言うと、金融当局の消極姿勢によってドル金利の上昇が遅きに失した側面もある、このままでは短期金利と逆転して、逆イールド態勢となって、それが景気後退を呼び込むことにもつながりかねない。
ニューヨーク時間の午後になって、好決算を発表したはずのキャタピラー社のガイダンスが蒸し返された。「今期が最高益だ」と断言したものが問題視された。それ自体は自信に満ちたコメントだったはずだが、マーケットは高すぎるPERに不安を感じていたこともあり、急速に失望へと変化した。
米国株は急落し、ドル円も108円台に逆戻り。109円台の前半では売っておこうとテクニカル面からのアプローチを考えていたプレーヤーの売りものを呼び込んだ。そしてドル円は108円台の中盤まで押し込まれた。リスク回避による円の買い戻しであることに間違いはない。
さて今晩もツイッターやフェイスブックなど、米経済をけん引してきたハイテク企業の決算が予定されている。昨日の米国株の値崩れのリカバリーは果たせるのか。リスクのありようが今晩のドル円の行方を決定することになりそうだ。
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