依然としてイタリアの財政問題は、市場の不安を煽っている。昨日もイタリアの長期債のスプレッドが拡大してくると、為替相場ではユーロ売り圧力が高まってきた。ニューヨーク序盤に近づくと、ユーロドルは1.14台の前半まで押し込まれた。またそれを後押しするかのように、欧州株も安い。
しかしユーロドルの1.13台というのは今年の最安値圏である。テクニカル的な興味からのビッドもわいてくるレベルだ。そこで私としても1.1450以下の安値攻めは控えることにした。気持ちとしては突っ込み売りしていきたいところではあったのだが。
米国株ももちろん安値攻めで始まったのだ。しかし大幅安のあと、最終的には値を戻してきて小幅安の水準に落ち着いた。大幅安の状態を見知っているだけに、どうしてもニューヨークの午後から大きな株価上昇が起こったという認識が強くなる。また実際にそれだけのショートカバーをともなう買い上げが行われているのだろう。
この大幅安からの反転は、先週の金曜日、今週になって月曜日と続いてきた同じパターンである。ファンダメンタルズ的な外部環境ではとても安いところを買っていける状況にはないのにである。それだけ押し目をぜひとも買いたいと思っている人びとが多いということだろうか。
このパターンがドル円でも突っ込み売りを控えさせている。パターンが破れないうちは、いくらリスクオフだからと言って、ドル円の112円台をショートにしていくわけにもいくまい。そういうわけで昨日は何も取引できずに終わってしまった。
アメリカの中間選挙まで残り1ヶ月を切っているが、予想では下院が民主党が優勢になるようだ。その上、先日、有名人が民主サポートを表明したことも話題になって、トランプ政権の信任が成されるかどうかも不確かさの度合いを強めている。しかし根っからのトランプ支持者は離れていないようだ。
これはトランプ大統領が政治家らしからぬことを言っているにしても、彼は政権公約に忠実だからだろう。民主主義のもとでの政治家にとって大事なのは、政策の是非よりも有言実行である。メキシコの壁を作ってメキシコに金を払わせるなど、実現不可能なことランプ大統領は主張を変えたりはしないで拘り続けている。
それに比べて思い当たるのは、本邦の10年前に起こった政権交代であろう。日本の民主党にかなりの期待をしたのも事実である。また現実不可能な政策がたくさんマニフェストに盛り込まれていることも承知している。国民はどうせできないだろうと思いながらも暖かく見守っていたはずである。だからそれに拘っていてほしかったのである。
政策が法制化できなかったとしても、民主党の任期は落ちなかっただろう。しかし現実路線に転換したためか、政策の変更が失望を誘った。「最低でも県外へ」と言い続けていてほしかったのである。マニフェストに書いてあることを1番から順番に愚直に法案作りに励んでいればよかったのだ。書いてないことはやらなくてもいいのに、最後は消費増税などやって支持を失ったのは記憶に新しい。
今晩はアメリカのPPIである。いうまでもなく代表的なインフレ指標だ。最近は長期金利の動向がマーケットの話題になることが多い。PPIの事前予想はプラス0.2%とされているが、これが大きめに出ると相場は反応することになりそうだ。昨日は全体的にドル相場が下がったわけだが、それが再びドル買いモードに転換する契機を与えるかもしれない。
日本時間 16時00分
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