昨日はアジア時間でユーロドルが1.12台に突入してきた。長い目で見れば、ここ半年はユーロ売りがかさんだ時期であった。いつユーロの全面安やユーロの一段安が起こってもおかしくはない状況が続いていた。しかし1.1300がテクニカル・サポートとなって、割り込むのを渋っていたのである。
要は時間の問題でしかなかったのだが、我々トレーダーとしては長らく待たされたという感じのほうが強い。ここを割り込まない限りは中途半端に1.13台をショートに振っていくことはしづらかったからだ。早く売り込んでショート攻めしたい。その思いが満たされるためには、どうしても1.12台を見ないと収まらなかったのである。
ただドル高のための環境がそろっているかというと、そうでもない。ドル金利の上昇は一服感が出ているし、今後の議論を呼ぶことがあっても、それは利上げペースを遅めるなど、ドル売り材料の方向だろう。それを求めているかのように米国株も調整が進んでいるのだ。どちらかというとユーロ売りの側面が強い。
やはり直接に目に見えるのはイタリアの財政問題だ。EU側の対応にはイタリア政府の強硬姿勢が目立つ。過去のギリシャ問題の時の連想で、どうせ何とかなるという安心感が存在していたはずだが、そうも言っていられなくなってきている。そしてあまり話題にも上らなくなってきたが、BREXITの進展が遅いこと。そして求心力を失いつつあるドイツの政権与党だ。
そもそも海外市場では経済イベントがなかったので、静かな一日になるはずであった。またアメリカは退役軍人記念日のため、市場参加者が少ないと来ていた。しかし米国株は大きく下がることとなった。
アップルが部品の減産を指示したということであったり、GEが手元資金を増やすために資産売却に走ることになるだろうというのだ。GEは縮小再生産のほうに向かっているので予期されたことではあるが、アップルはアメリカ経済を牽引するFANG銘柄の中心である。その影響は大きい。
しかも先週にもシャープを購入した台湾企業でも同じ要請が来たという話しがあったにも関わらず、選挙後のラリーで株価は空中戦を演じていたので材料は無視された格好だった。その分の膿出しが一斉に出たということだ。米国株が大幅安する中、さらに一段安へと向かったのは、商務省からの自動車関税に関する調査要請が引き金であった。
リスク回避の趣でクロス円が下がってくるのだから、当面はユーロ円のショートが良さそうだ。あまり戻りを待っていても、確たる戻しはないだろう。どこかで見切って売り込んでいかないと取れない相場展開になるかもしれない。ユーロドルのほうも下げはいま始まったばかりなのかもしれないのだ。
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